センバツ甲子園 熊本国府、8強目前に散る のびのびプレーにスタンド温かい拍手 /熊本
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第6日の25日、2回戦に臨んだ熊本国府(熊本)は阿南光(徳島)と対戦したが、0―3で敗れ8強進出はならなかった。昨秋の九州大会から続いた熊本国府の快進撃は終わりを告げたが、初出場ながら伸び伸びとしたプレーに対し、スタンドからは温かい拍手が送られていた。【林大樹、長岡健太郎】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち この試合、相手主戦は大会屈指の吉岡暖(はる)(3年)。熊本国府は打撃マシンを球速150キロに設定して、視覚的に慣れる対策を繰り返してきた。 すると一回、「昨夜から先頭打者として塁へ出たいと思っていた」という梅田悠汰(3年)が5球目を捉え、中堅へ抜ける安打。父、恭央さん(51)は「気持ちの入った一打。頑張る姿が見られてうれしい」と目を細めた。しかし後がつながらない。吉岡のキレのある変化球の前に計14三振を奪われ、ホームを踏むことはできなかった。 先発は初戦に続いて主戦の坂井理人(3年)。一回に三塁打を浴びて、守備の乱れもあり2点を献上、四回にも失点を許して3点を追う展開となった。山田祐揮監督は「相手は確実に好機をものにしてこちらは抑えられた。やりたかった野球をさせてしまった」と悔やんだ。六回からは左腕の植田凰暉(ごうき)が登板。「反撃につなげていけるように」と相手の内角をつく強気の投球で、計三回を全て3者凡退に抑え、仲間の反撃を信じた。 九回には1死から梅田が内野安打と相手守備のミスを突いて二塁まで進んで好機をつくるとスタンドは一丸となって大声援に包まれた。だが後続が倒れて試合は終了した。 野田希(のぞむ)主将(3年)は「今までなかった刺激やレベルを感じることができた。夏に戻ってこられるように全員で頑張る」と前を見据えた。 ◇「内野の守備最高」 ○…雨天で試合が2日遅れとなり、応援するはずだった熊本国府の生徒たちは、帰還せざるを得ない羽目に。その中で貴重な援軍は中学硬式野球チーム「熊本北リトルシニア」(熊本県合志市)のメンバー約25人。大阪市内で開催の大会出場のため関西入りしていたが、開会式が雨で中止に。初めての甲子園で熊本のチームの応援に来ることができた。選手たちは「内野の守備がエグい、最高!」などと大興奮していた。合志中2年の中島悠眞主将(14)は「自分たちも国府の先輩たちのように頑張りたい」。