【DeNA】生粋の「ハマっ子」ドラ5石田裕太郎が初登板初勝利 中大先輩牧の激励に「おいっす」
<日本生命セ・パ交流戦:DeNA8-5ソフトバンク>◇9日◇横浜 生粋の「ハマっ子」が、スタンドから夢見た瞬間を実現させた。 DeNAドラフト5位ルーキーの石田裕太郎投手(22)が「日本生命セ・パ交流戦」でプロ初登板初先発し、初勝利を飾った。パ・リーグ首位を独走するソフトバンク打線を相手に、5回を1失点の好投。幼少期からベイスターズの大ファンで、憧れだった筒香、中大の先輩だった牧からアベックアーチの援護も受け、チームの連敗を4で止めた。 ◇ ◇ ◇ 試合終了後、プロ初勝利のウイニングボールを手にした石田裕は、傘を持った三浦監督と相合い傘で写真に納まった。横浜市磯子区出身で、父から「ベイスターズファンじゃなきゃ、野球をやらせないぞ」と言われ、始まった野球人生。かつて、スタンドで応援した少年は背番号「54」のユニホームを着用し、満員のハマスタで大歓声を浴びた。 「小さい時から見てきて、かっこいいな、ああいう選手になりたいなと思って野球を続けてきたので、まだ1勝ですけど、もっと勝って、勇気を与えられる投手になりたいです」 力のある速球と強心臓で、打者もチームメートもさし込んだ。1回、2死満塁のピンチ。大原投手コーチ、内野陣がマウンドに集まり、中大の3学年先輩の牧から激励の言葉を掛けられると「おいっす」と返した。「ちょっと差された」と振り返った牧、大和が顔を見合わせ、マウンド付近で爆笑。輪が解けた直後、ソフトバンク柳町を一ゴロでピンチを脱した。 1球1球に魂を込め、アウトを取ればグッと拳を握った。「カウント負けしないように」と最速149キロの速球を軸に、得意のシンカー、プロ入り後に2軍で磨いたスライダーも交え、ゾーン内で勝負。5回1失点に抑え、通算172勝の三浦監督から「ルーキーですけど、チームに何か感じるものを与えてくれた」と絶賛された。 投球後は“特等席”から、大砲2人の放物線を目に焼き付け、ガッツポーズした。「球場でホームランを見た時はすごく興奮しましたし、その感覚は今でも持っているので、ベンチで見られてすごく良かった」。この日は父が用事で不在で、観戦に訪れた母と弟に勇姿を届けた。「まずお母さんに『ありがとう』と伝えたいんですけど、大のベイスターズファンのお父さんが来てないんで、次、見に来てくれた時に勝ちたいです」と誓った。【久保賢吾】 ▽DeNA三浦監督(プロ初勝利の石田裕と相合い傘で記念撮影に応じ)「雨が降ってたので風邪ひいたら困るし、ずぶぬれになるよりはいいかなと(笑い)。今日スタンドで見てた子どもたちが、裕太郎に憧れて、将来、DeNAに入ってくれることを願います」 ▽DeNA牧(石田裕について)「大学の時はもっとかわいかったんですけど、どんどん大きくなって、成長を感じることができました。あれだけ笑顔で投げる投手はいないと思いますし、良さでもあると思うので続けていってほしいです」 ▼ルーキー石田裕がプロ初登板を白星で飾った。DeNAの新人でプロ初登板初勝利は20年6月25日坂本以来11人目。相手の先発は43歳、通算160勝の和田で、プロ初登板初先発の新人が40代の先発に投げ勝ったのは12年4月1日楽天戦の藤岡(ロッテ=相手は43歳下柳)以来2人目。 ▼9日は5年目の佐藤(オリックス)もデビュー戦勝利。1日に2人がプロ初登板初勝利は14年4月2日に新人の岩崎(阪神)と3年目の上沢(日本ハム)が記録して以来、10年ぶり。 ▼初回に4番牧が自身2本目の満塁本塁打。初回4番打者の満塁本塁打は23年8月4日ポランコ(ロッテ)以来33人、36度目で、DeNAでは88年5月3日ポンセに次いで2人目。 ◆石田裕太郎(いしだ・ゆうたろう)2002年(平14)1月22日、横浜市生まれ。小3から森ファイターズ(横浜市)で野球を始め、中学時代は神奈川ボーイズ所属。静清(静岡)では1年夏からメンバー入りも甲子園出場なし。中大で2年秋に最優秀防御率。23年ドラフト5位でDeNA入団。今季2軍では8試合1勝2敗、防御率2・03。今季推定年俸780万円。180センチ、74キロ。右投げ右打ち。