医師が「生活習慣を改めるのに、遅すぎるということはない」と断言するワケ。「高齢者=人生の終わりに向かって枯れていく時期」ではない
厚生労働省が発表した「簡易生命表(令和4年)」によると男性の平均寿命は81.05年、女性の平均寿命は87.09年だそうです。健康寿命はこれよりも更に短い結果となっています。健康寿命を延ばして、できるだけ長く日常生活を制限なく過ごすためには…。医師の森勇磨先生は「健康寿命を延ばすのに、それほどお金は必要ありません」と言っていて――。 【書影】健康寿命を延ばすためにできることを医師が解説!『その選択が健康寿命を決める』 * * * * * * * ◆これから健康格差時代がやってくる? 効果と安全性が確認された後でも、幹細胞治療を始めとする再生医療に保険が適用されることはないと思います。つまり、誰もが安価で受けることはできない可能性が高いということです。 特に「不老長寿」すなわち「若く健康でいたい」という願望のために安く受けられることはないでしょう。 公的健康保険は病気を治すために使うものであり、原則として若返りのための医療には適用されません。 では、がんなどの病気の治療としてならどうでしょう。これはエビデンスが確立すれば、将来的に保険適用になる可能性があります。 そうなると、考えられるのは健康格差の拡大です。お金持ちは大金を使い、様々な再生医療、先進医療を受けてピカピカに若返り、病気をしても細胞ごと入れ替える。そうでない人たちは年相応に老化し、死んでいく。そんな社会がやってくるかもしれません。
◆健康寿命を延ばすのに、それほどお金は必要ない 実際に「医療インバウンド」として、日本の先進医療を海外の富裕層に提供する動きも出てきています。 健康格差が広がると、自由診療を受けるほどの余裕のない人が現状より若返ることは難しくなります。 ですから、自分のできる範囲で病気を予防・治療していくことになると思います。それが、健康寿命を延ばすことにつながるのではないでしょうか。 健康寿命を延ばすのに、それほどお金は必要ありません。人それぞれの価値観に合わせて生活を見直していけばいいのです。 もしも病気がわかったとしても、大難を小難に抑え、寿命までの楽しい時間を長引かせることができます。 また、再生医療にも限度はあります。遠い未来はわかりませんが、現時点で高齢者を若者に戻せる治療はありませんし、完全に病気を防ぐことも、すべての病気を治すこともできません。 再生医療が万能だとは思わないでください。