テレビではもっといじってもらっていい――May J.が“アナ雪バッシング”を経て手に入れた「強さ」
今年の春からはYouTubeを始めた。 「はいどうもー! はしもっちゃんです!!」 一瞬、目を疑うようなハイテンション。バラエティー番組のようなロケものから、ぶっちゃけトーク、人気曲のカラオケまで、 “はしもっちゃん”ことMay J.は、まるでベテラン女芸人のように動画の中で跳ね回っている。 「はしもっちゃん」は本名の「橋本芽生(めい)」から。YouTube用に設定したキャラクターなのかと尋ねると、「思い切り素ですよ(笑)」と答える。目の前にいるのは、明るく陽気な“はしもっちゃん”だ。陽気なキャラクターが徐々に知られるようになり、テレビ出演も増えてきた。 「デビュー15周年ということでYouTubeを始めたんですけど、昔からの友達とか、ずっとライブに来てくれているファンのみんなは、『やっと本当の芽生が出てきたね』って喜んでますね。本当の私と、独り歩きしたイメージとのギャップにヤキモキしてくれた人たちなので。……でも、あのころは、こんなことできなかったと思うんです。『何やってんの』って、いろんな方向からさらにたたかれたと思う。今は、ようやくそれも落ち着いたところで、私自身もずいぶん強くなったので、本当に自由に楽しんでいるという感じです」
初めて自分のために作った曲は誹謗中傷がテーマ
仕事が制限されたコロナ禍のステイホーム中は、創作活動に集中した。 「あり余っているエネルギーを曲づくりに注ぎ込もうと思ったんです。曲づくりは、ほとんどお風呂の中で。スマホのアプリで作曲しました。あれこれメロディーを考えたり、ハーモニーをいっぱい重ねたり、それがすごく楽しくて、もう夢中でしたね」 こうして作られた楽曲たちは、今年4カ月連続でリリースされている新曲群として実を結んでいく。一番最初に完成した「Can’t Breathe」は、「誹謗や中傷とどう向き合うか」がテーマだ。 「この曲で表現していることが、限りなく本音に近いです。ボーカルも、これまでの自分とは異なるものを表現したいと意識しました。それはイメージを壊すことにもなるから、すごく恐怖があったんですよ。でも、プロデューサーの篠田ミルさん(yahyel)に、『今、自分のやりたいことをやるべき、そういうタイミングですよ』って言ってもらって。自分のために曲を作ったのは、これが初めてかもしれないです」 今はシンガーとして、手応えのある時期だと胸を張る。「歌がうまい」と言われ続けてきた“カバーの女王”は、長く続いたバッシング、そしてコロナ禍を経て、クリエイターとして花を咲かせた。