50代で「貯蓄ゼロ」世帯の割合は? 定年まであと10年。会社員で「年収500万円」の世帯が、老後に向けてすべきことを解説
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年) 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 さらに60歳で退職し収入が途切れた場合は、年金受給開始まで5年間の生活費が必要です。月30万円程度の生活費を想定しても、5年間で30万円×12ヶ月×5年=1800万円におよびます。退職金を充てることもできますが、不足するなら多少年収が下がっても、再雇用や短時間勤務などで継続して働く必要があるかもしれません。 こういった60歳以降の生活費に加え、介護費用など万が一の備えも必要です。まずは、ご自分のライフプランと照らし合わせ、どれくらいの金額を老後資金の目標にするか考えてみましょう。
具体的にどのように老後資金を貯めていくのか
では、老後資金はどのように貯めればいいのでしょうか。実は子どもの独立は家族のライフスタイルの変わり目であり、生活費を見直す大きなチャンスです。 あくまで例に過ぎませんが、不要になった教育費用はもちろん、同居家族が減れば食費はこれまでより削減できます。また、子どもの就職を機に、保障額を小さくするなど保険の内容も見直せるかもしれません。 携帯電話などの通信費に無駄がないかチェックするのはもちろん、持ち家か賃貸かでも違いますが、家族の人数に合わせた住まいのダウンサイジングで、住居費を減らせる可能性もあります。 このような各家庭にあった支出の見直しで、少しでも貯蓄に回す習慣を身につけることが大切です。例えば、仮に月5万円でも捻出できれば、10年間貯蓄しつづけると5万円×12ヶ月×10年=600万円もの金額になります。これに年2回のボーナス時に20万円を貯蓄にあてられれば、20万円×2回×10年=400万円が加わり、1000万円台の蓄財も見えてきます。 さらにNISAなどを活用し、資産運用で老後に備えるのも1つの方法です。例えば、貯蓄に回していた5万円のうち2万円をNISAで運用し、運用益5%で10年間積立を継続したとすれば、元本240万円に対し、運用益が71万円発生します。もし、65歳までの15年間積立を継続できれば、それだけで元本360万円、運用益175万円で530万円もの蓄財になります。 いずれにしても、無駄な支出を見直して守りを強化し、NISAなどの資産形成対策も併用すれば、50歳からでも老後資金の準備が遅すぎることはありません。
まとめ
50歳代であっても金融資産をあまり保有していない世帯が多く、今貯金がない世帯でも決して悲観する必要はありません。一方で、老後に向けた時間は限られており、早期に資産形成への取り組みが必要です。 家族構成の変化は、必要な生活費も変わり、暮らしの収支を見直すいい機会でもあります。まずは今の生活を点検して、早めに老後資金の対策を実践してみてはいかがでしょうか。 出典 金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査 二人以上世帯調査 令和5年調査結果 総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)家計の概要 執筆者:松尾知真 FP2級
ファイナンシャルフィールド編集部