上白石萌音「共感したり、同情したり、一切しない」 PMSとパニック障害がある主人公たちから学んだこと
■2人の関係性から学んだこと「正直に話すってこういうことなんだ」
――藤沢さんを演じて、今後ご自身の生活の中で生かしていきたいと思ったことはありますか? 私は2人の「話を聞くスタンス」がすごく好きで、過剰に共感したり、同情したり、一切しないんです。すごくいい距離感で「へー」って思ったら「へー」って言うし、変に距離をつめようともしないし、優しくあろうともしない。そのスタンスって話を聞いてもらう時にすごく楽だなと思って。「分かるよ」ってウソをつかれるよりは「分からない」って言われた方が楽だなと。人と正直に話すってこういうことなんだなっていうのを2人に教えてもらえた気がして。こういう聞き手でありたいし、こういう話し手でありたいなって思いました。 ――PMSやパニック障害に限らず、“見た目からは分からない”症状や悩み、生きづらさを抱えていらっしゃる方はいると思います。「少し大変だけど、いいこともある」「心が少し軽くなった」と感じてもらえるように、周りにできることはどのようなことだと思いますか? 原作の中ですごく好きなセリフがあって。2人が勤める会社の社長が言う言葉なんですけど、社長が知らないと思って藤沢さんが「山添くん、パニック障害なんです」って気を利かせて言いに行くシーンがあるんです。それを受けた社長が「ああ、知ってるよ。でも僕は水虫だし、なんとかさんは肩こりだし、あの人は腰痛がひどいんだって。みんな完璧に健康な人なんていない。みんな何か抱えて生きてるんだよ」っていうセリフがあって。きっとそういうことなんだろうなって。「あの人が特別」「あの人が困ってるから助けなきゃ」とか、それは緊急の時とか大切だと思うんですけど、「(つらさや悩みは)みんなあるよね」「だから一緒に頑張ろうね」って。それでいい気がします。 ――映画をご覧になる人にどんなことを感じてもらいたいですか? 「あの人は私にとってすごく大切なんだな」って改めて気づくきっかけになったらうれしいし、「これから先、山添くんみたいな人に出会えるかもしれないな」っていう希望になってくれたらうれしいです。ちょっと心がしずんだ時とか、反対にすごく優しい気持ちになった時とかに、ふと思い出してもらえる映画になったら幸せだなと思います。