「大胆に農政運営し、殻を破る」 江藤拓農水相が就任会見 野党意見に「真摯に耳傾ける」
江藤拓農林水産相は12日、就任会見に臨み、「大胆に農政を運営しようと思う。農林水産省はこれまで殻を破れなかった場面が多分にあった。(農政の)大転換点であれば、殻を破らなければならない」と意気込みを語った。江藤氏は2019年の安倍晋三内閣以来、農水相として2度目の登板となる。 江藤氏は、政府が目指す食料安全保障の確保に向け、農家の激減や高齢化などにより国内農業が厳しい課題を抱えているとの認識を強調。その上で、「農政を一生懸命やってきただけに、自分の中にフラストレーションがある。必死に考えてやってきたが、今(国内農業が)この現状かという気持ちがある」と戒めた。 ■国民民主を特に尊重はしない 衆院選で自民、公明両党が過半数割れとなったことを踏まえ、江藤氏は「これまでの国会と違い、野党の諸君のご意見にも真摯に耳を傾けていきたい」と説明。「丁寧な質疑と答弁を心がけ、多様な角度で多様な意見が取り入れられ、最終的に良いものに昇華されていくような国会にしたい」との考えを示した。 自民と公明の両党は、国民民主党との政策協議を進めているが、江藤氏は「国民民主党の言うことを特に尊重するということではなく、委員会での質疑はそれぞれ尊重していきたい」とくぎを刺した。 ■農家が望むコメ価格になった また、今夏のコメ不足に伴うコメ価格の高騰については、「(農家からは)ようやくコメが望んでいる(価格)水準に近いものになったと(の声もある)」と説明し、消費者に理解を求めた。 農水省は現在、コメの需給見通しを公表し、国内農家はそれに基づき生産量を決めているため、実質的なコメの生産調整が行われているとされる。これに対し、江藤氏は「生産調整をしているわけではない。あくまで農家の自主的判断で(生産している)」と強調。「天候不順や災害などを見越して多く作るという議論は、農家の手取り(が供給過多で減る可能性)を考えるとできない」との考えを示した。 余ったコメを輸出に回す考えについては、自身が安部政権下で輸出担当補佐官だった経験を踏まえて、「中国に必死に売り込んだが、買ってくれる人たちどれくらいいるかという問題がある」と指摘。海外市場、とりわけ中国市場の開拓の困難さをにじませた。