明治以来の日本人のDNAと感性を刺激する〝唯一無二の年末大作〟「正体」と「レ・ミゼラブル」
横浜流星と共演者のアンサンブル
さらに、筆者が執行委員長アドバイザーを務めているチョンジュ国際映画祭に正式出品された「流浪の月」での抜群の演技力で海外の観客を感嘆させ、最近見た中で格が違うと断言できるボクシング映画「春に散る」で日本映画を代表する若き名優に名を連ねた横浜流星が、八色鳥の魅力を誇りながら、スリラーにアクション、メロドラマに青春物まで結合された見どころ満載の2時間の上映時間を文字通り「飛ばしてしまう」爆発力を発揮し、「劇場最適化エンターテインメント」のすべての要素を輝かせている。 それだけではない。逃亡の過程で主人公が出会う人たちとの間に育む友情、信頼、そして愛に共感することで、それらの普遍的な価値を再確認できる。意外なところで胸を突く相手役の吉岡里帆と山田杏奈、そして森本慎太郎らとのアンサンブルは、まるで数本の映画を見るような楽しみがあり、それだけでその価値はチケットの価格をはるかに超えている。「俳優陣の活躍」の中でも特記すべきは、冷徹な刑事として登場し、最初は悪者ではないかと誤解さえ招くが、時間がたつにつれて深い愛情を感じさせる又貫役の山田孝之の名演だ。 何度も「どうしよう、どうしよう」と観客の胸を締め付けたこの作品は、「法の涙」と「人間への希望」を味わいながら満足した気分を感じさせるラストを迎える。「これに匹敵する年末大作はない」と言ってしまいたい。世界的に厳しい経済状況の中でスマートな消費を求めたくなる今、レイトショーでも見て充足した気分で帰り、ほほ笑みみながら眠りたいという方々に心から勧める。今年も頑張ってきた読者の皆さんには「その資格がある(You deserve it)」。
洪相鉉