うれしい時は泣かない?大谷翔平 脳裏によみがえったWBC制覇 WS制覇は通過点か
ドジャースの大谷翔平はうれしい時に泣かないのかもしれない。最大目標のワールドシリーズ(WS)を制覇。試合直後のテレビインタビューで「本当に最高以外の言葉がない。本当に素晴らしい1年だった」と、笑顔が目立った。 その後は優勝セレモニーで涙を浮かべる山本の園田芳大(よしひろ)通訳を見つけると「泣いてる、泣いてる」とイジり、「由伸!(園田通訳が)泣いてるぞ」と、山本に報告していた。報道陣の1人としては園田通訳が感極まって泣く姿を見てグッとくるものがあったが、大谷はイジることで笑いに変えていた。 大谷は23年3月にWBCを制覇を経験。試合後に目の近くを何度も拭うしぐさを見せていた。試合後の会見で「感情の揺れがあったように見えたが汗ですが?もしくは涙ですか?」と質問を投げたが、大谷はニヤリを笑って「汗ですね」と即答。その後、しばらくはその言葉を信じられず、記者仲間と「泣いたよね?」などと言い合っていた。今回のWS制覇後の表情を見て汗だったのかもしれないと思うようになった。 今季4度目のシャンパンファイト。10年契約の1年目の大谷は選手やスタッフに「Let’s do this nine more times(これをあと9回やろう)」と呼びかけたという。 2度の満票MVP、WBC制覇、WS制覇を成し遂げても、大谷にとっては通過点。来季は投手復帰が待っている。サイ・ヤング賞やノーヒットノーランを成し遂げても、きっと泣かないだろう。少し寂しい気もするが、悔し涙はもっと見たくない。 そういえば、私も“大谷担当11年目”で悲願のWS制覇を現地で見届けても、涙が込み上げることはなかった。まだ通過点。大谷の偉業はまだまだ続くと本能的に感じているからかもしれない。(記者コラム・柳原 直之)