神への冒涜!? 大型犬×小型犬のミックス犬も…人間が生み出す「罪深い交配の現実」
それはSNSなどに流出した、大型犬のアラスカン・マラミュートと小型のポメラニアンのブリーディング情報だった。あまりに大きさが違う犬のブリーディング。これはSNSでも「一体どういうことなのか理解できない」「母親が大型犬なんだろうけど、生まれてくる子に問題が起きないか心配」「人間は神なのか、と思うような身勝手な繁殖が増えるのは怖い」というような声が上がった。 【写真】無理なブリーディングをさせられてしまう犬たち 「これには私も言葉を失いました。加熱する犬の“異なる純血種の交配”、私もとても気になっている問題です」というのは、俳優で、公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長をつとめ、動物愛護活動家である杉本彩さんだ。 「体重約35kgの大型犬と3kgの小型犬の交配なんて、明らかに骨格が異なる個体同士のブリーディング……。人為的交配だと思いますがそれにしても、これは命に対する冒涜ともいえる行為だと思います」(杉本さん) この異なる犬種の交配はかなり極端なケースではあるが、ここ数年、ミックス犬、ハーフ犬、ハイブリッドドッグ、デザイナードッグなどと呼ばれる異なる純血種の犬との交配が増えている。これは猫も同様だ。一部には動物アレルギーを持つ人でも飼育できる対策として生まれたケースもあるが、国内外でも議論はある。しかし、今やミックス犬・ミックス猫は違う目的で増加している。 なぜ、純血種のミックス犬・猫が増加するのか、異なる犬種・猫種の交配でどんな問題が起こるのか、杉本彩さんと日本獣医生命科学大学特任教授で獣医師の田中亜紀さんに話を伺った。
人気犬の2位が「ミックス犬」に
「犬には本来、その犬種が持っている弱点というものがあります。例えば、ヘルニアになりやすいとか、呼吸器系の疾患を起こしやすいなど、犬種によって様々な特性を持っています。異なる純血種を交配すると、父と母それぞれの弱点を併せ持つ可能性もあります。従来の犬種であれば弱点に対する治療やケアもある程度わかっていて対処することもできますが、異なる犬種の交配では、それがまったくわからない……。ブリーダーの間では、そういった理由から異なる純血種の交配はしない、という声をよく耳にします。 アレルギー対策などもあるのかもしれませんが、今、購入している方の多くは、可愛らしさや希少性に価値を見出しているように感じます。それによって、さまざまなミックス犬が生み出され、それが人気になっているという現状があるのです」(杉本さん) 実際、ペット保険で知られるアニコム損害保険株式会社が行なった2024年の最新人気犬ランキング(※1)では、15年連続で1位の「トイ・プードル」に続いて、2位に「ミックス犬(体重10kg未満)」がランクインしている。その主なものは、マルチーズとトイ・プードルのミックス「マルプー」、チワワとミニチュア・ダックスフンドのミックス「チワックス」、さらにはポメラニアンとパピヨンのミックス「ポメパピ」など、可愛らしい愛称で呼び親しまれている面々だ。アニコムによれば、このミックス犬人気は2009年に5位にランクインして以来、年をおうごとに順位を上げ、今年は2023年に続いての2位を獲得となったようだ。 ※1:https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2023/20240129/