暗号資産マイナー、次の成長地域として中東に注目
米バイデン政権が提案した、暗号資産マイニングでの電力使用に対する30%の課税案によって、暗号資産(仮想通貨)マイナーの間では、米国市場での事業はコストがかかり過ぎ、継続できなくなるのではないかとの懸念が高まっている。 米国の暗号資産マイナーは、ビットコインネットワークの全ノードの29%以上を占めている。しかし、コストが上昇し、他の地域が魅力的になれば、割合は低下する可能性がある。
中東の魅力
新たな選択肢のひとつとして浮上している中東は、税金が安く、エネルギーが豊富で、環境規制も一般的に緩やかだ。 オマーン政府は暗号資産マイニング事業に8億ドル(約1248億円、1ドル156円換算)以上を投資している。ハッシュレート・インデックス(Hashrate Index)のデータによると、アラブ首長国連邦(UAE)の400メガワットのビットコインマイニングは、世界のビットコインマイニングハッシュレートの約4%にあたる。エネルギーが豊富なこの地域への移転は、米国のマイナーに有利に働く可能性があると、この地域を支持する人たちは主張している。 「米国と比較して、オマーン南部には地政学的にユニークな利点がいくつかある。海底ケーブルの陸揚げ地に隣接しているため、接続に非常に適している。電気代が安く、政治的リスクも軽減され、データセンターにとって好都合な気象条件もある」と、オマーンの暗号資産マイニング企業グリーン・データ・シティ(Green Data City)のCEO、オリヴィエ・オーンハイザー(Olivier Ohnheiser)氏は3月末にオマーンで開催されたビットメイン(Bitmain)主催のWorld Digital Mining Summitで語った。 グリーン・データ・シティは昨年、UAE最大の暗号資産マイニング企業であるフェニックス・グループ(Phoenix Group)と、オマーン南部のサラーラに150メガワットの暗号資産マイニング施設を設立する3億ドルの契約を結んだ。 ビットコイン、ライトコイン、その他のプルーフ・オブ・ワーク(PoW)暗号資産用の施設は今年後半に完成する予定だ。 サラーラは夏季の最高気温が摂氏27度に達するが、中東の他の地域と比較すると比較的涼しい。さらにこの地域は、冷たい海水が利用可能で、グリーン・データ・シティの事業用マイニングライセンスによる支援もある。 また2023年には、デジタル・マラソン(Digital Marathon)とアブダビ政府系ファンドが支援するZero Twoが、中東地域初の液浸冷却式ビットコインマイニング施設を建設するため、4億600万ドルの合弁事業に調印した。 砂漠の気温はデメリットになり、特に夏場は最高気温が摂氏50度を超えることも珍しくないが、液浸冷却技術によって、厳しい環境下でもマイニング機器を最適に機能させることができる。