「年240万円が経費になる」だけじゃない!「経営セーフティ共済」が中小企業・個人事業主の「資金繰り」に威力を発揮するワケ
中小企業・個人事業主向けの制度として「経営セーフティ共済」があります。もっぱらクローズアップされるのは、「掛金が年間最大240万円まで経費になる」という点ですが、実は、それ以外にも「資金繰り」にメリットをもたらす活用法があります。本記事で紹介します。 中小企業の景況感《2011年~2022年7~9月》…業況判断・売上高・経常利益・資金繰り
経営セーフティ共済とは
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、月々の掛金を支払い、取引先が倒産して売掛金等が回収できなくなった際に、掛金総額の10倍まで借入ができる制度です。 運営母体は経済産業省が所管する「中小企業基盤整備機構」(中小機構)であり、多くの業種の中小企業・個人事業主が加入できます(【図表】参照)。 本来、経営セーフティ共済は、取引先の倒産に巻き込まれて自社も倒産する「連鎖倒産」を防ぐためのものです。しかし、もっぱらクローズアップされるのは、以下の2つのメリットです。 ・掛金全額・年最大240万円を経費計上できる ・3年4ヵ月(40ヵ月)以上加入した後はいつでも掛金全額を返してもらえる これらについて、簡単に紹介しておきます。 ◆掛金全額・年最大240万円を経費計上できる まず、掛金を支払ったらその全額が経費に計上されるということです。掛金は月5,000円~20万円の範囲で設定できるので、最大で年240万円を経費にできます。 掛金は原則として「月払い」の引き落としですが、向こう1年分を一括して振り込む「前納」を選べば、いわゆる「短期前払費用」として、全額を経費処理できます。ただし、毎年そのつど「前納」の手続きをとる必要があります。 ◆40ヵ月以上加入した後はいつでも掛金全額を返してもらえる 次に、40ヵ月(3年4ヵ月)以上加入した後であれば、解約した際にいつでも掛金全額が「解約手当金」として返ってきます。 すなわち、40ヵ月以上加入すれば、金を戻すタイミングを自由に選べるということです。 経営危機・赤字に陥ったときや、まとまった額の設備投資が必要なとき、自分自身が勇退して退職金を受け取るときに解約するのが効果的です。