生殖世代で不妊症のカップルは10~15%、半分は男性に原因 「総精子数、精子濃度質」低下傾向の原因とは
「精索静脈瘤を改善する手術で、約7割は精液所見が良くなるデータが出ています。論文報告では、精液所見が良くなることに加え、その後の妊娠率やART(体外受精や顕微受精)の成功率が上昇すると報告。当院では4K3Dビデオ顕微鏡を用いた手術を保険診療で行っています」
一方で原因不明の「特発性」が5割超。また日本人に限らず世界的に精子の質が経年的に少しずつ低下している。背景にはスマホの電磁波や地球温暖化があると指摘する声もあるが真相は?
「数十年単位で総精子数、精子濃度質などが有意に低下傾向ですが、正確な原因は不明です。短期間で考えるとメタボリックシンドローム、ストレス、運動不足、睡眠不足など、基本的な生活習慣の乱れが関与していると考えられます。これらは男性機能にもよくない影響を与えますので、若い方の性欲減退傾向も少子化の要因のひとつと推測されます」 (取材・熊本美加)
■平松一平(ひらまつ・いっぺい) 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学講座助教。2013年順天堂大学卒業。日本生殖医学会が定める認定研修施設の一つである獨協医科大学埼玉医療センター・国際リプロダクションセンターでの研修を経て、現在、順天堂医院で男性妊活外来を担当する。生殖医療専門医、泌尿器科専門医・指導医、日本性機能学会専門医、内分泌代謝科(泌尿器科)専門医、日本排尿機能学会専門医、難病指定医。