豪、エイブラムス戦車49両をウクライナに供与へ 第47機械化旅団に待望の補充
オーストラリアはウクライナの戦争努力のために余剰のM1A1エイブラムス戦車49両を供与すると表明した。ウクライナにとってまさに絶好のタイミングでの支援になる。というのも、米国製のこの戦車をウクライナ軍で唯一運用する部隊である第47独立機械化旅団は、戦闘での損失で戦車が不足しているからだ。 エイブラムスの供与はおよそ2億4500万豪ドル(約245億円)相当の新たな支援パッケージの一部で、17日からブリュッセルで開かれる北大西洋条約機構(NATO)国防相会合でオーストラリアのパット・コンロイ国防産業相がウクライナ側に直接伝える予定だ。 コンロイは供与するM1A1について「ウクライナ軍の火力と機動性を高めるとともに、われわれのパートナー諸国によるウクライナ軍機甲部隊への支援を補完するものになる」と述べている。 重量60t強、乗員4人のこれらのM1A1は、オーストラリア陸軍の機甲部隊が今年、新型のM1A2を導入したのにともない退役した。譲渡を仲介したウクライナ在住の防衛コンサルタント、JC・ドッドソンはオーストラリア放送協会(ABC)に、ウクライナに引き渡されるM1A1はまだ「かなり良好に稼働する状態」だと語っている。 ウクライナ当局は昨年から旧型M1の譲渡を働きかけていたが、オーストラリア側は新型が届くまで手放すのを保留していた。エイブラムスは米オハイオ州で製造されていて、他国が輸出するには米政府の許可を得る必要がある。オーストラリアとウクライナの取引がうわさされ始めてから発表まで1カ月ほど空白期間があったのも、米側との手続きのためだったのかもしれない。 オーストラリアからM1A1が届いたあと、ウクライナ軍がそれをどうするかは予想がつく。まず、対戦車ミサイルなどから防護するため追加の爆発反応装甲を戦車に装着し、ドローン(無人機)対策のケージ装甲やジャマー(電波妨害装置)も取り付ける。そのうえで、これらの戦車の一部もしくは全部を第47機械化旅団唯一の戦車大隊に配備する。