「辞めたら親が悲しむ」から始めたピアノで動画再生7億回!音大での挫折、IT企業での休職を経てハラミちゃんが辿り着いたストリートピアノの世界
でも、会社はチームワークですし、成果以外にも求められる部分もあり、すごく悩むこともありました。会社で求められるように自分をレベルアップしようと向きあった結果、働きすぎて体調を崩し、就職して数年後、休職しました。
■ピアノを再開したのは先輩からのある誘いから ── 社内でMVPに選ばれるほど頑張り、チームをまとめる立場にもついたと著書『好きのパワーは無限大』で読みましたが、そのぶん、とまどいも大きかったのでしょうね。休職中はどんなことを?
ハラミちゃん:実家の自分の部屋で横になりながら、天井を眺めて過ごしました。じつは音大受験前にも頑張りすぎて突発性難聴でダウンしたことがあり、両親にとっても初めての経験ではないので、動揺せずに見守ってくれました。 ── 家族の支えはありがたいです。このとき、ピアノを弾いてみようという気には? ハラミちゃん: 休職中は触れる気にもなりませんでした。 ── では、ピアノを再開したのはどういった経緯で?
ハラミちゃん: たまたま、私がピアノを弾けることを知っていた職場の先輩が、様子見がてら連絡をくれてストリートピアノに誘ってくれたんです。当時の私は、ストリートピアノの存在も知りませんでした。 ── 本当に偶然なんですね。不調でお休みしている時に、ストリートピアノに行こうと誘われてどう思いましたか? ハラミちゃん:他の友だちも私を心配して誘ってくれたので、約束して休職中も外に出ようとはしたんです。でも、ちゃんとメイクもして着替えもしたけど、玄関の扉を開けられない、ということが何度かありました。外に出るのがすごく怖かったんです。
けれど、ピアノを弾きに行くと思うと、その扉を開けることができました。自分でも不思議だなと思いながら、怖さやドキドキが入り混じった気持ちで東京都庁展望台のストリートピアノに向かいました。 PROFILE ハラミちゃん ポップスピアニスト。「ピアノを身近な存在にする」を目標に、2019年からYouTubeにて活動開始。YouTubeのチャンネル登録者数222万、動画総再生数7億回以上。日本全国、世界各地のストリートピアノへと出向き、YOSHIKIさん・広瀬香美さんなど多くの著名人とのコラボ。2023年、全国47都道府県ツアーで5万人を動員するなど活動の幅を広げている。
取材・文/岡本聡子 写真提供/ハラミちゃん
岡本聡子