家でも「唐十郎」貫いた父 次男、大鶴佐助語る 「旅行体験を戯曲にしろ」とむちゃぶりも
■舞台にやりがい
野田秀樹作品への出演や、劇団ヒトハダ座長としての活動など多忙な大鶴。12月6日からは、シェークスピアの「ヴェニスの商人」(森新太郎演出)に、グラシアーノ役で出演する。高利貸のユダヤ人シャイロック(草彅剛)から、友人の信用を元手に借金をするバサーニオの友人役だ。
「ユダヤ人迫害の歴史を知っている分、差別的にも読めて、単純な勧善懲悪の話とは読めない」と大鶴。借金のカタに1ポンドの肉を要求するシャイロックの人肉裁判は、キリスト教徒の欺瞞も暴く。その中で、グラシアーノは、多弁で陽気、かつはみ出す存在だ。
「多面的な物語で、文字より舞台で見る方が面白く、やりがいを感じます」。父と同じ道を、誇りを持って歩んでいる。(飯塚友子)
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「ヴェニスの商人」の東京公演は12月22日まで、日本青年館ホール。26~29日、京都劇場。。来年1月6~10日、名古屋・御園座(052・222・8222)。
唐十郎
から・じゅうろう 劇作家、演出家、俳優、小説家。東京都出身。昭和37年に明治大卒業後、劇団「状況劇場」を結成。新宿・花園神社境内など野外に紅テントを設える上演スタイルで、寺山修司らと並ぶアングラ演劇の中心的存在として活躍した。代表作に「少女仮面」「腰巻お仙」「泥人魚」など。小説「佐川君からの手紙」で芥川賞を受賞。