不便なところがベイクに似てる!? 「ドリッパー」の種類と特徴を徹底解説 バイク乗りのコーヒー屋デイドリップ通信VOL.11
実は湯が極力留まらず、最短時間で抜けていくように作られているのです。だからメリタ・カリタと同じように湯を注ぐと、コーヒー粉に触れている時間が短かく、薄味になってしまいます。では一体どうやって淹れるのでしょうか?
V60は湯の太さや注ぐ時間によって味わいを作っていきます。これは「透過法」と呼ばれ、注ぎ方のわずかな違いでも味わいが変化する繊細さがあります。でも一定の淹れ方が出来る腕前がないと、味がブレやすくもあります。全ては湯の抜けの早さによって生じる個性ですね。
この湯の抜けの早さは、穴の大きさだけでは実現しません。早さの秘密はリブ(内側の螺旋状の突起)にあります。リブの高さが他社製品と比べ非常に高く作られています。高いリブでペーパーフィルターを空中に浮いた状態で支え、ドリッパー壁面との間に大きな空間を確保するためです。それによってフィルターから滲み出た湯(コーヒー)はストレスなく穴へ誘導されるから、抽出が早いのです。 またリブ同士の間隔はとても広く、しかも螺旋状に配置しています。これは湯の重みでフィルターがたわんで張り付き、せっかくの空間が失われてしまうのを防ぐため、たわむ力を逃すための設計です。 直線で配置するよりもしっかり支えることが出来、空間を最大化しています。このリブの設計こそがV60ドリッパーの真髄、真骨頂だと思います。螺旋状は単なるデザインではなく、機能を追求し続けた結果なのですね。
アウトドアに便利な折り畳み式も登場
現在カリタからは更なる安定感を誇るウェイブドリッパーが登場、またハリオでも湯がゆっくり落ちる浸漬法のドリッパーや、V60の性能をそのままアウトドアでも手軽に味わえる折り畳み式ドリッパーまで登場しました。
こんな風に様々なタイプが作られている訳ですが、機能や構造から紐解いていくと「どんな人に、どんな風に」コーヒーを淹れてもらいたいのか、というコンセプトがそれぞれにあり、それを実現するために試行錯誤していることがよく分かります。全てはあくまでも「ハンドドリップでコーヒーを淹れる」ための情熱が為せるワザです。