FRBによる0.5%の利下げはビットコインに警戒感を与えるかもしれない:10xリサーチ
9月6日に発表されたアメリカの雇用統計により、アメリカ連邦準備制度(FRB)が金利引き下げに踏み切る舞台が整ったように見える。その最初の動きは来週にも起こる可能性が高い。 10xリサーチ(10x Research)によると、9月18日にFRBが50ベーシスポイント(bps)の金利引き下げを実施した場合、強気と見られる流動性緩和サイクルは、暗号資産(仮想通貨)を含むリスク資産にとって不調な形で幕を閉じる可能性がある。 金利の変動は一般に「ベーシスポイント(bps)」で表され、これはパーセンテージポイント(%)の100分の1に相当する。FRBを含む中央銀行は通常、25bps(0.25%)の金利変更を選択する。しかし、より大幅な変動が選択されることもあり、その場合は緊急性が示される。例えば、FRBは2022年の引き締めサイクル中に50bps(0.5%)と75bps(0.75)の利上げを複数回実施し、インフレ抑制の緊急性を示唆し、金融市場でリスク回避の動きを引き起こした。 来週50bpsの利下げが実施されると、経済への懸念が高まっているか、差し迫った景気減速への対策が遅れていることを意味し、投資家がビットコイン(BTC)や株式などのリスク資産へのエクスポージャーを縮小する可能性がある。 「FRBによる50bpsの利下げは、市場にさらに深刻な懸念があることを示すかもしれないが、FRBの主な焦点は市場の反応を管理することよりも、経済リスクの緩和にあるだろう」と、10xリサーチの創設者マーカス・ティーレン(Markus Thielen)氏は9月9日に顧客宛てのメモで述べた。同氏は、BTCが7万ドルまで上昇するという第1四半期の予測を正しく行っていた。 記事執筆時点で、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)のFedWatchツールは、FRBが来週50bpsの利下げを行い、金利を4.75%から5%の範囲に引き下げる可能性がほぼ30%であることを示していた。 「50bpsの利下げの可能性はわずか29%であり、これは我々の見解と一般的なコンセンサスとは対照的だ。7月に不意を突かれた後、FRBは労働市場の弱さの兆候を見逃しており、出遅れているという声が大きくなっている」とティーレン氏は付け加えた。 ティーレン氏の意見は、伝統的な市場の専門家のコンセンサスと一致している。 「FRBは50bpsの利下げから始めようとはしていない。率直に言って、現時点では経済はパニックを起こす必要がないからだ」と、マクロトレーダーのクレイグ・シャピロ(Craig Shapiro)氏はXで述べた。 シャピロ氏は、流動性に依存した市場はFRBがまず50bpsの利下げを行い、中央銀行がさらに利下げを続けることを望むだろうと述べた。 「我々は再びこのゾーンに戻ってきた。FRBが屈服して望むものを与えるまで、リスク資産は調整するだろう。我々はFRBのプット行使価格を見つける必要があるが、現在の経済状況と、経済データがまだゆっくりと成長している一方でリスク資産価格(株式、信用スプレッドなど)が依然として非常に高いことを考えると、水準が大幅に低下するのではないかと懸念している」とシャピロ氏は付け加えた。 過去のデータを見ると、最初の利下げの規模に関わらず、利下げサイクルの開始は必ずしも資産価格に刺激的な効果をもたらすわけではない。 2023年1月に2万ドルだったビットコインが上昇した背景には、FRBの利下げがあると予想されていたことがあり、今回も利下げがすでに織り込まれているのではないかという疑問が生じている。 |翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Jesse Hamilton/CoinDesk|原文:A 0.50% Fed Rate Cut Could Raise Alarm for Bitcoin, 10X Research Warns
CoinDesk Japan 編集部