どこにも売っていなかった…爆発的人気商品「ヤクルト1000」、その「凄まじい売上本数」
ターゲットと機能の検討
今でこそ「ヤクルト1000」はストレスの緩和と睡眠の質の向上という2つの機能を大きく打ち出していますが、開発した当初はどの機能を強く出すのかは検討材料になっていたそう。さらにターゲットを絞り込むため若手中心のワーキンググループを発足して、研究を進めていきました。 機能に関しては、まずはストレスに着目しました。脳と腸はお互いに密接に関係していて、影響を与える脳腸関係があることがわかっています。ストレスがかかると腸の働きが悪くなって、例えば腹痛や下痢、便秘などを引き起こすことも知られていることでしょう。そこでヤクルトでは、基礎研究によって「乳酸菌 シロタ株」が神経系の活動に影響することを突き止めました。でも、神経系に作用するには、菌数が多く、密度が高いことが条件であることもわかったのです。 また厚生労働省の「平成27年度国民健康・栄養調査」では、睡眠への不満についてもわかっています。20~50代のビジネスパーソンに、睡眠全体の質に満足できない人が多いと判明しました。その結果、「ヤクルト1000」のメインターゲットはビジネスパーソン、機能性は「ストレスと睡眠へのアプローチ」に定まりました。
医学部生を対象として飲用試験へ
求める機能性が定まったとしても、実際にその効能があるのかどうかが問題です。それを調べるため、ヤクルトは学術試験を控えた医学部生を対象とした飲用試験を実施しました。なぜ医学部生なのか? というと、学術試験を控えている医学部生が非常にストレスを抱えていることがわかったからです。学術試験に合格しないと医師免許は取得できませんから、プレッシャーも大きいのでしょう。 飲用試験では「乳酸菌 シロタ株」を1000億個含む飲料の継続飲用が行われました。結果「一時的な精神的ストレスがかかる状況におけるストレスの体感、ストレスホルモンの上昇を軽減すること」「睡眠の質・体感を維持・向上すること」が証明されたのです。