中国の万科が1兆円超の借り入れで銀行と交渉、進展した段階-関係者
(ブルームバーグ): 中国の不動産危機で新たな火種となっている万科企業が、約500億元(約1兆800億円)規模の借り入れに向け、数行の銀行大手と協議している。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。進展した段階にあるという。
ブルームバーグの集計データによると、ドル換算で約69億ドルの融資契約が締結されれば、日本を除くアジア太平洋地域では、台湾の国家住宅都市更新センターが関わる2022年の140億ドル取引以来の規模となる。
非公開情報だとして匿名を条件に話した関係者によれば、中国工商銀行(ICBC)が主導する今回の融資を巡る協議は数カ月前に始まった。金融規制当局が不動産開発を手掛ける万科に資金繰り支援を提供するよう銀行に指示した後だという。
関係者によると、融資が実行される場合、約800億-900億元相当の不動産資産が担保となる方向だ。
メガローン2件目
ICBC主導の融資契約がまとまれば、万科が今年受けるメガローンとしては2件目となる。先週には、招商銀行など金融機関と200億元規模のシンジケートローン契約に至っていた。
中国2位の不動産開発企業である万科は政府系の支援も受けていることから、業界内では比較的健全とかつて考えられていたが、デフォルト(債務不履行)を回避する能力を巡る投資家の疑念を和らげるため、資金調達を急いでいる。
ブルームバーグがまとめたデータによると、万科の6月7日償還債(表面利率4.2%)は30日、額面1ドルに対し99.6セントに上昇。期日通りの返済に対する投資家の強い期待を示唆している。
今回の500億元規模の融資には、中国建設銀行や平安銀行を含め、約6-7行が参加する計画だと、関係者のうち2人が語った。調達資金は社債償還や非標準債務として知られる他の債務の返済に充てられるという。
関係者の2人によれば、銀行側はなお貸し出しの担保を選定している段階で、融資は最終的なものではなく、変更される可能性もある。