a16z出身者ら3人が設立の新VC「ケミストリー」、530億円調達で始動
大手VCとの戦い
2016年のフォーブスの『30アンダー30』に選ばれたシェンは、ベッセマー時代に現在の評価額が100億ドル(約1兆5200億円)のServiceTitan(サービスタイタン)を発掘し、a16zに移ってからはPave(ペイブ)のようなユニコーンや、Tennr(テナー)やWrapbook(ラップブック)、さらに先日6500万ドル(約98億円)を調達したAIエージェントのDecagon(デカゴン)などの初期投資を手掛けていた。 これらの3人と仕事をしたことがある創業者たちは、ゴールドバーグの対人関係のスキルとコネクションやカーツワイルの落ち着いた存在感と洞察力、シェンの迅速な行動力を評価している。「彼女は1年半の間、私にとって共同創業者のような存在だった。ほぼ毎日話をしていた」と、シェンとゴールドバーグが取締役会に加わったペイブのCEOであるマット・シュルマンは語った。 ■大手VCとの戦い 一方、ケミストリーが今後立ち向かう課題は、パートナーたちが長期にわたりうまく協力できるかどうか、そして彼らがかつて在籍していたような大手ファームとの競争に勝てるかどうかだと関係者は指摘している。 また、同社の3人のパートナーたちは、彼らの評判を知らない創業者たちにアプローチするのが難しいかもしれないと認めている。「私たちは、誰もが知っている企業の名刺を持っているのが当たり前の世界に慣れているが、現時点での私たちのファンドの認知度はほぼゼロだ」とゴールドバーグは語った。カーツワイルは、最初に「勝つ見込みが高い」スタートアップに投資することで自社の評判を築き、それを次につなげていく戦略だと説明した。 ケミストリーは、今後2~3人のパートナーを追加することを検討しているが、巨大ファンドとの競争に引き込まれないようにバランスを取る必要があると述べている。また、ファンドの規模を大きくしすぎず、レイトステージの案件への投資も控えるという。 「目の前のゲームをプレイしなければなりませんが、私たちは集中することでより良いゲームを展開できると信じています」とシェンは語った。
Alex Konrad