「孤独」だと「病気」になる? マウス研究で明らかになった“孤独”と“オキシトシン”と“肝臓”の関係
内閣府の調査によると、日本人の4割が孤独を感じており、特に20代から50代はその傾向が強いという。 【映像】孤独なマウスにオキシトシンを補充した結果 そんな中、孤独と病気に関する最新の研究を取材した。
マウスを“孤独”にして実験
これは、マウスの動脈硬化の状態を赤く染色した画像だ。右の方が赤い部分が多く、動脈硬化が進んでいる様子が分かる。この差を生んだとみられるのが、「孤独」。 慶應義塾大学医学部専任講師 安西淳医師は「元々は『孤独になると淋しくなって多く食べてしまって肥満になって、その結果動脈硬化が進む』などのメカニズムが語られていた」と説明。 真相を究明すべく。慶応義塾大学の研究グループは、孤独と病気の関連をマウスを使い科学的に分析。4~5匹のグループと、1匹だけで飼育された孤独なマウスを比較すると、新たな事実が確認されたという。
オキシトシンを摂取して病気を予防?
「実は、脳の細胞から出てくる“幸せホルモン”と呼ばれるオキシトシンが肝臓におけるコレステロールの代謝に重要な役割を果たしている。マウスを孤独にするとオキシトシンの分泌が減り、肝臓での脂質代謝の制御機構が狂ってしまい、全身のコレステロールあるいは中性脂肪といったような悪玉成分が増えてしまうことで、動脈硬化が進んでしまうのではないか、というような機序を初めて見出した」 では、外部からオキシトシンを取り入れるとどうなるのか? 研究グループはさらに実験を進めた。 「マウスが飲む水にオキシトシンを混ぜたところ、“孤飼い”にしたとしてもオキシトシンを補充したグループは動脈硬化の進行が優位に抑えられるという結果が出た」(安西医師) 心筋梗塞や認知症など、様々な病気のリスクを高めるとされている動脈硬化。私たち人間も、オキシトシンを摂取し病気を予防するということは可能なのだろうか? 安西医師は「現時点でオキシトシンの製剤は注射薬、点滴だ。理想的には1日1回飲めばオキシトシンの血中濃度が上がるような内服薬があれば一番いいが現状ではない。あるいは社会的な活動などで社会的孤独な状況にある方に働きかけることも重要だろう」と述べた。 AIエンジニア/SF作家の安野貴博氏は「個人的に意外な結果だ。進化的な観点からすると、孤独でも生き延びれた方が有利なのかと思っていたが、逆に孤独な個体は不利だと明らかになった。やはり人間は群れの生物のようだ」と述べた。 (『ABEMAヒルズ』より)
ABEMA TIMES編集部