戦力補強が進んでいないパドレス、お家騒動が原因か? 亡くなったオーナーの妻が兄弟2人を提訴
ダルビッシュ有、松井裕樹の所属するパドレスでお家騒動が起きている。 オーナーグループの中でサイドラー家がチームの株式約45%を所有しているが、一家の中から誰が「コントロール・パーソン(経営責任者)」になるかで、オーナーだった故ピーター・サイドラー氏の妻、シール・サイドラーさんがピーター氏の兄弟2人を提訴した。スポーツビジネスのネットサイト「スポルティコ」などが報じている。 ピーター・サイドラー氏は2012年にパドレスを購入したグループの一員。20年シーズン後に経営責任者となった。MLB球団は複数の人々による所有が一般的だが、リーグとの連絡役や主要事項に関する投票を行うため、各チームには1人の「コントロール・パーソン」が指名される。 ピーター氏が指揮を執った期間中、パドレスは小規模市場のチームであるにもかかわらず大胆な投資を行った。21年に年俸総額トップ10に入り、22年にはトップ5、そしてその翌年にはトップ3にまで上昇した。この戦略によりファンの関心が高まり、チームも強くなり過去5シーズンで3回のポストシーズン進出を果たした。しかしながらピーター氏は複数の健康問題を抱えており、23年11月に63歳で亡くなった。 ピーター氏はシールさんと4歳、9歳、11歳の3人の子供を残した。パドレスはピーター氏の長年の友人であり、ビジネスパートナーであるエリック・クッツェンダ氏が暫定的な経営責任者に任命されていた。そして先月12月21日、一家の信託財産を管理・運用するピーター氏の弟マット氏が、兄ジョン・サイドラー氏が正式に経営責任者になると発表した。シールさんはこれに対し、ピーター氏の意思に反していると訴訟に踏み切っている。 テキサス州の裁判所に提出された訴状によると、ピーター氏の死後、その兄弟たちが「シールと子供たちの利益のために行動する」との約束があったのに、それはほごにされ、チームから事実上排除されているという。そこには人種差別的および性差別的な動機もあり、インド系のシールさんに対して人種差別的で下品かつ憎悪に満ちた言葉を使ったり、シールさんと子供たちが試合中にオーナー用スイートルームに招かれていないこと、兄弟がシールさんはチームのオーナーではないとパドレスの従業員に伝えたとされる内容が含まれている。そしてピーター氏が作成した遺言や信託文書の明確な条件や目的を無視しただけでなく、シールさんをあざむき、利益相反行為を行い、自己取引を通じて信託の価値や資産を奪おうと意図的に画策したとしている。 シールさんの訴状には、マット氏がパドレスを売却し、移転しようとしているとも書かれている。これに対しシールさんは自身が経営責任者に任命されることで、サンディエゴに初のチャンピオンシップをもたらすというピーター氏の希望を実現するために努力するとしている。訴状には、ピーター氏が手書きで残したとされるメモも含まれ、その中で自身の死後のコントロール・パーソンの優先順位として、シールさんと子供たちを最優先に挙げているという。 シールさんは損害賠償を求めるとともに、マット氏を受託者から解任することも求めている。お家騒動が起きる中、このオフのパドレスの動きは静かで、FAでもトレードでも戦力補強を進められていない。