欧州議会選で「緑の党」大敗、気候変動目標の継続巡りEU論争激化へ
欧州気候基金のロレンス・トゥビアナ最高経営責任者(CEO)は「残念ながらポピュリスト政党があまりに大きな勢力を得た」と述べ、「より公正な政策」と「もっと市民に耳を傾けることだけが、二極化への解決策だ」との見解を示した。
50年までのネットゼロ達成のため、欧州は今後10年で排出削減を一段と加速する必要がある。その目標に着実に進むべく、欧州委員会は40年をめどに温暖化ガス排出量を90%減らすという新たな目標案を今年に入り示した。正式提案は来年になる見込みで、この目標に関する政治的な議論はまだ始まっていない。
EU自身の見積もりによると、ネットゼロ実現には31年から50年までエネルギーや交通システムに年1兆5000億ユーロ(約253兆円)程度の投資が必要で、大半は民間の資金を頼りにしている。11年から20年までの10年でこれらセクターの脱炭素化に投資された額は年8630億ユーロだったため、大幅な上積みが求められる計算だ。
だが、グリーン化への移行で現在最大の公的財源としているパンデミック復興プログラムは終わりに近づき、共同債発行など新たな財源を巡って各国は一致できていない。新議会で分裂が深まり、予算や気候対策などの政策をEUが前進させることがいっそう難しくなるリスクがある。
原題:Green Wipeout Means Fights Ahead to Keep Europe’s Climate Goals(抜粋)
(c)2024 Bloomberg L.P.
Ewa Krukowska