食材廃棄の悩みを解決!飲食店の「フードロスタイム」とは? 閉店間際の来店がお得と人気に
閉店間際の時間を目指してお客さんが詰めかける珍しい現象が起きている飲食店があります。そのお店は大阪駅前のビルに入居する「都野菜 賀茂」(大阪市北区)。朝採れ京都地野菜を、サラダやおばんざいなどで楽しめると話題のビュッフェスタイルレストランです。 【写真】ビュッフェ形式の料理はこんな感じです 都野菜 賀茂が閉店間際に集客できるのは「フードロスタイム」という聞き慣れない制度を取り入れたため。このかつてない取り組みについて都野菜 賀茂を運営するMAPPY LABO代表取締役の東元大喜さんに取材しました。
フードロスタイムとは、閉店前1時間の「お得な時間」
「フードロスタイム」とは、閉店前の1時間に限り550円(通常は平日大人1650円、共に税込み)で料理を楽しめるという制度です。ビュッフェの料理補充が終了しているという条件のもとで、ビュッフェ台に並んでいる料理を存分に、低価格で楽しめます。 「日々残る食材を捨てるくらいであれば低価格で販売して、食材廃棄分を売上に変えられないか?と考えスーパーマーケットのタイムセールをヒントに考案したのが始まりです」と東元さん。 「弊社のレストラン都野菜 賀茂は、京都の農家の方に、『朝採れ』『有機・無農薬または減農薬』という条件で育てた野菜を提供していただいております。どの方も、私をはじめ野菜ソムリエのスタッフが訪ねてお付き合いが始まったつくり手の方たちばかり。そんな方たちの野菜を、さまざまな調理法や料理で存分に楽しんでもらいたいと思い『ビュッフェ』という形態にしたのですが、ビュッフェがゆえの課題が浮き彫りになりまして……」
ビュッフェスタイルが抱える深刻な廃棄問題
ビュッフェ形式の飲食店の場合、閉店間際までビュッフェ台に並ぶ各料理をそれなりの量、準備し続けなければならないという宿命があるそう。「どんな時間に来店されたお客さまにも満足いただけるように店側がスタンバイしていると、閉店と共に相当な量の料理が廃棄されることになってしまうんです。単純に閉店間際だから食材を補充しないとは言いにくい状況で」 こちらのお店は、午前中から夜10時まで営業していますが、コロナ禍以降は夜7時以降に来店するお客さんが激減したといいます。とはいえ、一人、二人の来店はあるので当初は、お客様からの「料理が少ない」という声に応えて閉店間際でも補充をし続けていました。その結果、大量の廃棄を招く事態となり、社内で「もったいない!」という意見がたくさん挙がったそうです。 「お客様の満足度をあげるために、少人数の来店でも料理を作りつづけ、結果的には料理が残るということが、原価率を上げてしまう一因にもなっていました」と東元さん。