女王・安井友梨、積み上げたチャレンジを経て世界決戦へ 歴史的舞台で金メダルをつかめるか?
世界最高峰のフィットネス頂上決戦「IFBB世界女子選手権&男子ワールドカップ」が12月16日~19日に東京・有明コロシアムで開催される。100名を超える選手団が決戦に臨む中、ここでは国内で敵なしの成績を残している女王・安井友梨にスポットを当てる。 【フォト】安井が日本最高峰の舞台で魅せた美ボディ
2023年は左足親指を粉砕骨折する大ケガに見舞われ、その中で国内・海外戦を戦い抜く苦難のシーズンとなった安井。それだけにIFBB世界フィットネス選手権でのフィットモデル(ドレスとスイムスーツ着用で競う部門)での奇跡的な優勝劇は感動的なものとなった。 そんなシーズンを戦い抜いたことで、彼女の心境にも変化があったようだ。今年初戦となった「オールジャパン・フィットモデル・チャンピオンシップス2024」(9月1日、仙台市電力ホール)においては、163cm級及びオーバーオール優勝を達成。「去年は骨折による暗闇の中からの世界一でした。そこで得たのは、『失敗の先にしか成功はない』という経験です」と語った。 続くオールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス(9月29日、岡山芸術創造劇場)では9連覇を達成すると「自分が思うステージを思う存分できることが歓喜でしかなくて、毎日が喜びでいっぱいです。当たり前のことの幸せに気づけたっていう。そんな1年ですね」と感謝に満ちた胸中を告白。苦難の先にあった気づきを経て、女王の心はひとまわり成長を遂げていた。 翌月の無差別級日本一決戦「フィットネス・ジャパン・グランド・チャンピオンシップス」(10月6日、国際障害者交流センター BIG-I)では、大会を通してピンクビキニと水色ビキニの2着を入れ替えてステージに立つ挑戦を実行。「見てくださる方が『今年の安井友梨なら世界一になれる』と思っていただけるようなステージをお届けしたいという気持ちでした」と強い気持ちをあらわにした。 国内では盤石の強さで記録を更新した安井だが、国際大会では苦戦を強いられる。「アーノルド・クラシック・ヨーロッパ」(10月10日~13日、スペイン)では昨年優勝を飾ったフィットモデル172cm以下級で2位、ビキニフィットネス172cm以下級では5位という結果に。続く「IFBB世界フィットモデル選手権」(10/26~27、リトアニア)ではフィットモデル172cm以下級3位となり、思うような実績を残すことは叶わなかった。 国内外5連戦を終えた後の自身のブログでは、失敗や挫折もしてきたがすべてが経験だと綴った安井。それらは挑戦し、行動した結果なだけであって、行動したことの方が大切だと自らを鼓舞した。連覇記録を持つ女王であっても、平坦な道のりを越えてきたわけではない。チャレンジの歴史は彼女の糧となり、活力となっている。日本開催ということも相まって、歴史的舞台となる世界選手権への意気込みは相当なものだろう。 昨シーズンを越えて沸き上がった大きな感謝、そして決意と覚悟を携え、ワールドクラスの舞台に臨む安井友梨。未だ成し得ていない、悲願のビキニ世界一を達成できるか。そしてフィットモデルでも昨年に続き優勝をはたすことはできるのだろうか。ステージは2日目の12月18日、その挑戦に注目が集まる。
文/森本雄大 写真/木村雄大