リンダ・グラットンが教える「80代でもロックンロールを貫くミック・ジャガーから学べること」
『ワーク・シフト』『LIFE SHIFT──100年時代の人生戦略』の著者リンダ・グラットンが、変化の激しい現代のワーク・ライフ・バランスを論じる連載。 【画像】組織論学者のリンダ・グラットン ローリング・ストーンズのフロントマンであるミック・ジャガー。彼は精力的なまま歳を重ねている。彼の生き方からは、情熱や友情は歳とともに失われていくものではないことを学べる。 私はずっとミック・ジャガーのファンだった。彼は、若さの意味するところのワルさ、セクシーさ、いたずらっぽさのすべてを体現する人物だ。私はティーンエイジャーの頃、テレビ番組の「レディ・ステディ・ゴー」で「Little Red Rooster(リトル・レッド・ルースター)」を披露した彼らを見た。「You Can’t Always Get What You Want(無情の世界)」は、私の20代のアンセムとなった。 驚くべきことに、ミック・ジャガーももう80代だ。世界で最も裕福な民主国家のトップも80代なのだから、それは結構なことかもしれない。とはいえ、バイデンが期待されていたのは、腰を振ったりマイクに向かって叫んだりすることではなく、威厳たっぷりに、理性的にふるまうことだが。 サー・ミックはただ80代にさしかかったばかりではない。バンドとツアーをし、歌詞を書き、楽器を演奏する。つまり、10代の頃から続けてきたことをまだやってのけているのだ。 「いったいどうして彼はそんなことができるんだ?」と我々は思うものだ。中年の大金持ちたちは、若者の血を輸血したり、酸素テントで寝たり、トレーいっぱいの錠剤を飲んだりするが、彼らもミックのように元気な80代を過ごしたいのだろう。だが、ミックはそんなことはしない(少なくとも輸血や酸素テントは絶対にやっていない)。 米国のテレビ司会者であるディック・キャヴェットが、ミックに舞台裏で飲んでいた皿盛りの錠剤について聞いたところ、「ビタミンA、B、Cと塩」という答えが返ってきた。若々しい彼は確かに多くの錠剤を飲んでいるが、大金持ちたちのそれとは大きく違うものだったというわけだ。