香林坊東急スクエア11月売却 ビル管理会社が株主総会 リオが営業引き継ぎ
金沢市中心部にある商業施設「香林坊東急スクエア」が、全国で不動産関連事業を手掛けるリオグループに売却されることが決まった。29日、同市内で施設が入るビルの管理会社の臨時株主総会が開かれ、東急(東京)が商業棟の所有権を手放すことを報告した。東急によると、11月末にリオ側に所有権が移り、営業が継続される。 香林坊第一開発ビル管理組合の臨時総会と香林坊第一開発ビルの臨時株主総会が金沢東急ホテルでそれぞれ非公開で開かれた。 出席者によると、株主総会では、ビル側と東急が商業棟の業績や売却に至った経緯などを説明。運営を引き継ぐリオ・ホールディングス(HD、東京)の関係者も出席し、地域のにぎわいづくりに力を尽くす意欲を示した。出席者から異論はなかったという。 東急によると、現在の商業棟の管理運営は東急モールズデベロップメント(東京)、ホテル棟は東急ホテルズ&リゾーツ(同)が行っている。売却後は、商業棟、ホテル棟ともリオ・ホテルズ関越(新潟市)が所有し、商業棟の管理運営はリオ・モールマネジメント(東京)が担う。 商業棟は売却後、名称を変えて再出発する。ホテル棟の運営は東急ホテルズ&リゾーツが現在の名称のまま続ける。 株主総会に出席した70代男性は「香林坊の一等地にあり、しっかり活性化させて地域に貢献してほしい」と期待した。 ●テナント構成不透明 東急スクエアは、東急モールズデベロップメントが展開する商業施設ブランドで、香林坊は首都圏以外では唯一の運営施設。1階に人気セレクト店「ユナイテッドアローズ」、地下1階には書店のうつのみや(金沢市)が入り、飲食店やコワーキングスペースなども営業している。 売却後のテナント構成について、東急は取材に「開示できない」としている。あるテナントの関係者は「営業を継続したい思いはあるが、どうなるか分からない」とし、新しい運営会社からの条件提示後に検討するとした。 香林坊東急スクエアが入る金沢市香林坊2丁目の香林坊第一開発ビルは、商業棟が地下1階、地上5階。金沢東急ホテルとともに1985年9月にオープンした。香林坊109時代には、渋谷109の人気ブランドを1、2階に集積させるな10代後半を中心とするギャル系の集客を図った。 2016年4月に香林坊東急スクエアと改称。近年は、金沢駅周辺の商業施設との競争の激化などで客足、売り上げが落ち込み、全体のうち1割超で空き床が解消されない状況が続いていた。