「島口ミュージカル結」脚色一新、小中高生ら熱演 昼夜計4回公演に約1250人 塩田知事も称賛 鹿児島県徳之島
【鹿児島県・徳之島】徳之島の小中高生ら活動する「結(ゆい)シアター手舞(てまい)」(57人)の第9回「島口ミュージカル結―MUSUBI―」の公演が21、22日にかけた昼夜計4回、天城町防災センターであった。明治維新の立役者西郷隆盛の同島遠島処分中の島民たちとの心のふれあいと教え、島口・シマ唄・闘牛など伝統文化の躍動も基本ベースに今年は脚色を一新。心を一つに厳しい練習に耐え、圧巻のステージで延べ約1250人の観客を感動させた。 結シアター手舞は天城町の中高生らの「国民文化祭かごしま2015」参加をきっかけに、「国文祭だけでは終わりたくない」との熱い思いと保護者らのバックアップで後輩たちに継続。メンバーは島内3町の小中高生に拡大し、保護者ら育成会は「島口を含む歴史文化の継承」「世代を超えたつながりから生まれる人材育成」「子どもたちのやりがい、居場所づくり」などの目標も掲げている。 ミュージカルの時代背景は1862(文久2)年の徳之島。薩摩藩主から奄美大島に続き再遠島処分となった西郷の人柄を師と慕い、寵愛(ちょうあい)も受けて京都にも同行した同島出身の青年・琉仲祐=後に徳嶋(とくのしま)仲祐=との絆など史実を基にした物語。
伝説の妖怪「ケンムン」や底抜けに陽気な島民たちとのふれあい。奄美大島龍郷からの愛加那母子と再会を果たしつつも久光公の逆鱗(げきりん)に触れて沖永良部島への再遠島。シマ唄「行きゅんにゃ加那」にのせた別れ。シリアス劇での感動の涙に島口パロディーの笑いも織り交ぜ、迫力に富んだ生演奏をバックにダイナミックな舞踏ダンスなどで演出した。1回あたり約2時間半ずつの熱演で大いに魅了した。 徳之島世界遺産センター開所記念式典出席ため来島中の塩田康一知事も22日の昼公演を鑑賞。「素晴らしい舞台だった。日頃よく練習をしているようで息が合ってセリフもしっかりして、郷土のこともよく理解している。これからも頑張って島の文化を広めてほしい」と期待。千葉県から帰省中の建築士・松山哲則さん(65)=徳之島町出身=も「演者の子らがとても生き生きとしていて、リズムに合わせて会場のノリもよかった。迫力に富んだ素晴らしいステージに驚いた」と絶賛した。 西郷役の前田明誠さん(樟南二高3年生)は「メンバーはみんな不安があったと思うが、歯を食いしばって一生懸命に練習を頑張ったおかげで成功できたと思う。結シアターはこれからも続きますので応援をよろしくお願いします」と満足そうだった。 結成当時から支え続ける1人、結シアター会長の前田美香登さん(56)=天城町=は「いずれは島を巣立つ子どもたちが、今この時間(とき)を仲間と共に全力で楽しみを共有。舞台を中心にした関係する全ての人々との〝つながり〟と〝感謝の気持ち〟も体感した。いつの日にか、この島に帰って恩返しができることを期待し、今後も全力でサポートしていきます」とアピールした。