吉田麻也は”当確”? 競争原理を排除したザックJ
ザックジャパンから突如として競争原理が排除された。 6日に長居スタジアムで行われるグアテマラ代表戦において、日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督は5日の公式会見でDF吉田麻也(サウサンプトン)、MF長谷部誠(ニュルンベルク)、FW香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)の3人を先発で起用することを明言した。 吉田と香川は所属クラブでレギュラーポジションを失い、長谷部も前所属のヴォルフスブルクからボランチでの出場機会を求めて新天地へ移籍したばかりだ。 ザッケローニ監督は10日のガーナ代表戦(日産スタジアム)を大事な一戦と位置づけた上で、「この3人を出しておきたい」と試合勘を取り戻させることを優先させる考えを強調。7月の東アジアカップで活躍したJリーガー組については「試合に出したいが、あくまで『できれば』ということだ」と言い切った。 今回の2連戦には、FW柿谷曜一朗(セレッソ大阪)をはじめとして、東アジアカップで結果を残した7人の新顔が招集されている。柿谷は8月のウルグアイ代表戦に続いてワントップでの先発が濃厚だが、残る6人は途中出場か、最悪の場合はベンチウォーマーに甘んじる可能性が高くなった。 特に3戦全敗を喫した6月のコンフェデレーションズカップとウルグアイ戦の計4試合で13失点と破綻したままの守備組織においては、今野泰幸(ガンバ大阪)と吉田が引き続いてセンターバックコンビを組むことが確定。東アジアカップで及第点のプレーを見せながらウルグアイ戦で出番なしに終わった森重真人(FC東京)が、念願の出場機会を得られるかどうかは微妙な状況だ。 吉田はコンフェデのイタリア戦やウルグアイ戦で、安易で軽率なプレーがそのまま失点に結びつく、記録には表れないミスを連発。2失点に絡んだウルグアイ戦の後半11分には、懲罰とも受け止められる途中交代を命じられている。 それでもザッケローニ監督は失点禍の責任を選手個々には求めず、前線から最終ラインまでのチーム全体が連動する組織的な守備ができていなかったと指摘する。 2日から大阪府内で始まった合宿では、ワントップ、2列目、ボランチ、最終ラインの距離をそれぞれ10mに固定して、チーム全体でボール保持者をサイドに追い込む動きを確認。相手ボール時には、相手のワントップの選手の1メートル背後に最終ラインの高さを設定することを求めるなど、まさに微に入り細の指導ぶりで守備の再建に取り組んだ。 DF長友佑都(インテル)が「この合宿は徹底して守備の部分をやっている」と説明する基本事項の確認を、吉田はこう振り返る。 「攻めている時もリスクマネジメントをしっかりしないといけない。アジア相手には何となくできた部分をもっと突き詰めて、神経を研ぎ澄ませていかないと、強豪相手に戦う上で難しくなってくるので。そういう点はよりいっそう感じている。いろいろとやらかしましたが、一歩ずつやっていくしかない」