未知数ハリスの一発勝負!テレビ討論でトランプを負かし初の女性大統領になれるか
討論会のルール
ABCニュースは討論会に先立ち、いくつかのルールを発表した。 まず、9月3日に行われたコイントスにより、演壇の配置と討論会後に行われるスピーチの順番が決まった。コイントスで勝利したトランプが、討論会後のスピーチをハリスの後に行うことを選び、ハリスは視聴者から見て右側の演壇を選択したということだ。討論会開始時のスピーチは行われない。 候補者は、備品や事前に書いたメモを持ち込むことは許されていないが、ペンとメモ用紙、ボトル入りの水1本が用意される。討論のテーマは、事前に候補者には知らされていない。 持ち時間は司会からの質問に対する回答がそれぞれ2分、それに対する反論が2分、補足説明のために1分が与えられる。候補者が発言する際には、もう一方の候補者のマイクはミュートされる。 ハリスとトランプは、互いに質問したり、CM中にスタッフと話をしたりすることはできない。また会場に観客は入らない。
見どころ
今回のテレビ討論会は、トランプとハリスにとって初めての直接対決となる。 ウェブサイトで政策提案を公開しているハリスには、自らの立場についてより明確に説明できるかもしれない。討論会に先立つ数週間でハリスは、移民政策から環境問題に至るまでの多くの問題について、中道寄りにシフトしている。「リベラルすぎる」という懸念を和らげることがその狙いだ。 世論調査によれば、有権者は外交政策や経済政策、移民対策や人工妊娠中絶をめぐる問題を最も重視している。 一方のトランプは、討論会でハリスに対する新たな攻撃を展開することが予想されている。ただし一部の保守派は、黒人でアジア系で女性というハリスのアイデンティティーを攻撃するのはやめるようトランプに警告している。トランプは7月に全米黒人ジャーナリスト協会が開いたイベントで、ハリスが「都合よく黒人になった」と発言して批判を浴びている。
必勝のペンシルベニア州
今回の大統領選で最も重要な州はペンシルベニア州かもしれない。ハリスにとってここは決して負けられない州だ。バイデンが選挙戦から撤退してハリスが民主党の大統領候補になったことで、民主党は勢いを盛り返しているものの、共和党のトランプとの激しい競り合いは続いている。 ペンシルベニア州は、民主党と共和党の支持がほぼ二分されている状態だ。2020年の大統領選ではバイデンが1.2ポイントの差で、2016年の大統領選ではトランプが0.7ポイントの差で勝利を果たしている。ペンシルベニアは中西部の「青い壁(ブルーウォール)」と呼ばれ、伝統的に民主党が強い州の一つであり、民主党にとっては大統領選で勝利するために必ず獲得しなければならない州とされている。 ハリスがペンシルベニア州で勝利するためには、フィラデルフィア、ピッツバーグやその周辺地域など、ここ数年「左寄り」の傾向がみられる地域でトランプを大きくリードする必要がある。また共和党支持が増えつつある農村部などではトランプから票を奪う必要もある。 世論調査分析サイト「ファイブサーティーエイト」によれば、ペンシルベニア州でのトランプとハリスの支持率はほぼ互角で、ハリスがわずかに0.9ポイントのリード(ハリス46.6%に対しトランプ45.7%)を維持している。
アンドリュー・スタントン