奄美地方、暴風域抜ける 台風10号 北部で建物や農作物に被害
非常に強い台風10号は28日午後、屋久島の西南西をゆっくりと北上した。鹿児島県奄美地方は同日正午ごろに風速25メートル以上の暴風域を抜けた。奄美市笠利町で同日午前5時48分に最大瞬間風速31・4メートルを観測。暴風域に巻き込まれた奄美大島と喜界島を中心に、建物や農作物などへの被害が発生した。各自治体は状況を調査中で、今後被害の報告が増えるとみられる。奄美地方が強風域を抜けるのは29日明け方になる見通し。 自治体のまとめによると、奄美大島と喜界島の6市町村では27日から28日にかけて、最大259人が公民館やコミュニティーセンターなどに身を寄せた。28日午後3時までには全域で避難指示や高齢者等避難が解除され、各自治体は住民の帰宅を待って避難所を閉鎖した。 奄美市名瀬では27日夜、60代男性が風にあおられて転倒し太ももの骨を折る重傷を負った。男性は病院に搬送され、命に別条はない。龍郷町では住家や空き家計22棟で一部損壊の被害があったとみられる。喜界町では家屋の外壁や屋根の破損、倒木、漁港に係留中の小型船の転覆などの情報が寄せられたほか、サンゴの石垣の損壊も確認された。各自治体はくわしい被害状況を調査している。 宇検村湯湾の県道湯湾新村線と、喜界町赤連の県道浦原喜界空港線で実施していた通行止めは、28日午後4時半までに解除された。 台風は午後5時現在、屋久島の西南西約40キロにあり、大隅地方が暴風域に入った。中心気圧は935ヘクトパスカル。中心付近の最大風速は50メートル、最大瞬間風速は70メートル。中心から半径110キロ以内が暴風域、中心の東側390キロ以内と西側280キロ以内が強風域に入っている。 奄美地方で29日に予想される最大風速は北部20メートル(最大瞬間風速30メートル)、南部15メートル(同25メートル)。うねりを伴う波の高さは北部7メートル、南部5メートルの見込み。