火星での生命探査にパラダイムシフトを起こすか 米大学院生が提案する斬新なミッション
■電子レンジ程の火星探査車4台で生命探査を実施
そこでLongo氏は、50億米ドル以内に収まる複数地点での火星生命探査ミッションを提案しました。同ミッションでは、ハビタブルだった可能性のあるコロンビア・ヒルズ、ミランコビッチ・クレーター、マウルス渓谷、シレヌム高地という4つの着陸地それぞれで1台ずつの探査車を使って生命の探索を行なうといいます。電子レンジ程の大きさで重量約15kgという小型の探査車を低コストな火星着陸機「SHIELD(Simplified High Impact Energy Landing Device)」で運搬することにより、この予算内でも火星生命探査ミッションを実現できるようです。 Longo氏の提案は決して突飛なアイディアではないようです。同氏によると、小型の着陸機で多くのペイロードを運搬するといったパラダイムシフトはすでに、着陸機「オデュッセウス」によるペイロード運搬を実現した商業月面輸送サービス(CLPS)において見出すことができるのだといいます。にもかかわらず、MARSEミッションやSHIELDの実現性は未確定のようです。同ミッションはNASAジェット推進研究所(JPL)のチームの支援を受けて進展しているものの、同研究所は予算のカットやレイオフを余儀なくされました。そのため、ミッションを中断している段階にあるのだといいます。 Longo氏は宇宙開発・天文学ニュースサイト「Universe Today」に、「(自身が提案する)探査機の開発はやりがいのある経験であり、SHIELDの開発チームとともにコンセプトを推進できたは光栄です」と話し、実現が10年後になろうとも、別の開発チームが低コストかつ複数の探査車による火星探査ミッションを進展させるだろうと期待を寄せています。 Source Universe Today - Search for Life on Mars Could Level-Up with MARSE Mission Concept NASA - Mars Curiosity Rover NASA - Perseverance Rover Top Science Results NASA - JPL Workforce Update Longo, A. - The Mars Astrobiology, Resource, and Science Explorers (MARSE) Mission Concept. Ehlmann, B. and Edwards, C. S. - Mineralogy of the Martian Surface Woolley, R. C., Barba, N. and Giersch, Loh - Rideshare Strategies for Small Mars Missions
Misato Kadono