大政局は来年2月か?「ガラス細工」の石破政権が生き残る道
立憲は急がばまわれ、大政局へ心の準備を
ところで、野党の主役である立憲はおそらく横綱相撲を考えているのであろう。で、それはおそらく正しいと思う。というのは、この状況こそ策に走らず敵失を待つのが上策といえるからで、それに来夏の参院選を誰とたたかうのが一番得なのかと考えれば、石破氏が立憲にとっての最適解ということであろうから、ここは相手を変えない作戦を選択する可能性が高いのではないか。 つまり、自民党の党首交代の道筋を立憲がつけて、人気者の出番をつくることはないという理屈でいえば、ふしぎな共存関係が見えてくる。 さて、内閣不信任決議は原則1会期1回(一事不再議)であり、提出には51名以上の議員が必要であるから、大仕事である。また、少数与党への不信任決議をしくじることはあまりにも格好が悪いし、野党には石破総裁を降ろしてからのリスクが発生するので、野党は慎重にならざるを得ないであろう。 整理をすれば、大盤ぶるまいで国民民主の賛成を手にいれるのか、それとも総理辞任と交換で予算案成立への立憲の協力を得るのか、といった交渉相手をどちらにするのか問題と、石破氏の花道(引責)問題、そして参議院選挙の「顔」問題とが複雑に絡みあう党内政局になると思われる。 事と次第によっては、野党を巻き込む大政局になるが、政党は大きい方が有利という原理は変わらないから、野党にあっては立憲の優勢は動かないと思われる。 討ち死に覚悟で切り拓(ひら)くことでしか、少数与党の生き残る道はないと思う。
筆者紹介
加藤敏幸(かとう・としゆき)1949年愛媛県生まれ。三菱電機で労働運動に加入し、89年の日本労働組合総連合会(連合)結成に奔走した。2004年参院選比例代表に民主党から出馬し、初当選。外務大臣政務官や参院外交防衛委員長、党参院国対委員長などを歴任し、16年に政界を引退。現在は一の橋政策研究会代表を務める。