大政局は来年2月か?「ガラス細工」の石破政権が生き残る道
加藤敏幸元参院議員
第二次石破内閣が自公による連立政権として発足した。与党会派の議席数は221なのに、野党6党だけでも議席数が232という少数与党であって、いつ壊れてもおかしくない「ガラス細工」の政権である。 【写真】第2次石破内閣の顔触れ 確かに比較第一党であるから、連立による多数派工作においては優位に立っているはずだったのに、過渡的な政治状況が災いして結果を得ることなく少数での船出となった。 そういった脆弱(ぜいじゃく)性を抱えながら、待ったなしの政治改革の改正や厳しさを増す国際情勢、わけても返り咲きトランプ氏との関係構築をはじめに隣接国との関係調整など外交だけでも難題となっている。さらに、好循環経済の定着や少子化対策はじめ広範にわたり社会的、経済的課題が山積している。過半数を確保していても大変という状況にある。
選挙で示された民意を羅針盤に
10月27日の総選挙の結果については「まあまあだった」というのが人びとの率直な感想であろう。確かに「与野党伯仲」が期待値としての本命であったかもしれないが、自公過半数割れという結果も自民党の狼狽(ろうばい)ぶりをみる限り、決して悪いものではなかったと人びとは思い始めているようである。 有権者にはもともとクールなところがあって、怒りは怒りとして思いっきり罰したいものの、そのじつ不利益がわが身に跳ね返ってくることを恐れるがゆえに、これまでは宥和(ゆうわ)的な対応に踏みとどまっていたのではないか。しかし今回は、罰として与野党伯仲以上の苦しみを与え強く反省を求めながら、他方政治混乱が生活におよぼすリスクを避けるために政権交代未満にとどめたもので、つまり総論としての民意にはそういう二律背反的なものがあったと思われる。
立憲中心の政権交代はお預け
今回、「政権交代こそ、最大の政治改革。」が立憲民主党の選挙スローガンであったが、有権者としては政権交代を万能薬として受けとめられない心境もあったのではないか。つまり、期待はあるが裏切られる不安もあって、平均的な有権者にとっては政権交代は考えるのも「しんどい」ことであったと思われる。 ただし、従来いわれてきた政権交代への忌避感が薄れてきたことも確かであって、特に立憲の中道寄り現実路線が定着すれば近い将来実現する可能性は残っていると思われる。 他方、立憲を中心とした政権が民意であるなら、どの党よりも立憲の比例票が大きく伸長するはずなのに、投票率を含めてそういった傾向はまったくみられなかった。小選挙区では反与党という意味で立憲候補者へ票が流れたものの、政党選択では意図的に立憲を避けたのではないかと思う。といったことから、与党にも立憲にも猶予的な対応であったというのが、今回の民意の核心であると考えている。