長野県松本市のプロ棋士・長沢千和子さん 史上9人目の女流五段に
日本将棋連盟に所属する女流プロ棋士・長沢千和子(ちかこ)さん(60)=長野県松本市=が、史上9人目となる女流五段に昇段した。15歳でプロ入りしてから45年かけてたどり着いた到達点だ。「地域の皆さんやファンが心の支えになっていた」と感謝し、「負けた時の気持ちを克服してつかみ取った五段。さらに勝ち星を積み重ねて、できたら六段を目指したい」と見据えた。 昇段が決まったのは昨年11月に大阪市で開かれた「ヒューリック杯第5期女流順位戦C級」で、室田伊緒女流三段を108手で破った。「内容のいい将棋を、見ている人が楽しい将棋を指そう」と臨んだ長沢さんは「まずは勝てたことがうれしかった。ファンや地域の人からお祝いのメッセージをもらい、じわじわと実感した」と振り返る。 小学校4年生の時に将棋を始めた。市内で将棋道場を開いていた父親の正さん(故人)から中学生まで教えを受けた。13歳の時に道場を訪ねた棋士の故松田茂役さんに才能を見いだされ、15歳でプロの道に進んだ。 五段への昇段条件は「女流四段昇段後160勝」で、「特に昇段まであと1勝になった今年の9月からが長かった」という。昇段への道のりは順調ではなく、負けが続いたり勝率が落ち込んだりするなど壁にぶち当たることもあって、「将棋の道を諦めそうになったこともあった」。 日本将棋連盟塩尻支部の師範も務める長沢さんは、県内外で子供たちの指導にも当たっている。「少しでも将棋の良さ、面白さを子供たちにも伝えていけたら」とほほ笑む。
市民タイムス