【ウインターカップ】精華女のエース清藤優衣、初のメインコートで示した存在感[高校バスケ]
「同じ『SEIKA』なので、『京都精華の選手ですか?』と間違えられることもよくありましたし、『精華女子』と検索しても京都精華の方が一番に出てきたりして…。だからここで京都精華に勝って、『精華女子』という名前を全国の皆さんに知ってもらいたいと思っていました」 【写真】京都精華学園×精華女フォトギャラリー(31点)をチェック そう語るのは、精華女のキャプテンNo.4 清藤優衣だ。前日の「SoftBank ウインターカップ2024」の女子準々決勝では、桜花学園を1点差で下し、創部67年目にして初のベスト4進出。大きな山場を越えてもそこで燃え尽きることなく、日本一を目指す上で越えねばならない相手、京都精華学園に全力で立ち向かった。 試合は終始、大接戦となった。精華女は大黒柱のNo.44アキンデーレ・タイウォ・イダヤットがファウルトラブルに陥る中、日本人5人の布陣でハードにディフェンスを仕掛け、オフェンスでは要所で清藤らがシュートを射抜く。しかしリバウンドを相手に掌握され、京都精華学園にリードを奪われる展開に。終盤の追い上げむなしく、最後は70 - 72でタイムアップとなった。 大上晴司コーチは「選手たちは最後までよく頑張ったと思います。ただ、彼女たちなら『もっと積極的にやれるんじゃないか』という思いもベンチで見ていてありました。そういう部分も含め、初めてメインコートに立たせてもらった我々と、百戦錬磨の京都精華学園さんとの、トータルの差を感じたゲームでした」と脱帽する。
ただ、敗れはしたものの、大上コーチが「苦しい展開の中で、『私がやらなきゃ』という姿勢が見えました」と高く評価するエースの清藤は、3Pシュート5本を含む25得点。一昨日の浜松開誠館戦では後藤音羽を、前日の桜花学園戦では阿部心愛をタフに守ってきたエースキラーが、この日はオフェンスでも大きな存在感を見せたのだ。 「今までオフェンスの起点にしてきたタイウォが今日はすごくアジャストされていて、そこで点が取れなかったので、『自分がやるしかない』と感じていました。最後はもう、『自分が全部やってやる』くらいの強気な気持ちだったと思います」(清藤) 大舞台でも物怖じせずに決めた3Pシュートは、今夏の代表活動で磨いたスキルでもある。「FIBA U17女子ワールドカップ」に出場してスタメンでプレーした清藤に、求められた役割は3Pシューター。「代表に入るまで『3Pシューター』という感覚はなかったのですが、代表でシューターとして経験させてもらい、それが本当に自信になりました。チームに帰っても『空いたら打つ』というのを意識していました」と語り、今大会でも自信を持って打ち切った。 3年間を振り返れば、膝の大ケガでの長期離脱や、世界を肌で体幹したFIBA U17女子ワールドカップ、2点差に泣いた地元インターハイなど、さまざまな経験を味わってきた。振り返って「悔いがないとは言えないですし、『もうちょっとやれたんじゃないか』という気持ちはありますが、でも本当に、このウインターカップでやり切ったかなという思いもあります」と、正直な気持ちを語ってくれた清藤。「3年間で、考え方、マインドの部分から大きく成長できました」と、悔し涙をぬぐってすがすがしい笑顔を見せていた。
文/中村麻衣子(月刊バスケットボール)