庭や山があるならぜひ!"自前の"原木でキノコを育てよう
『やさいの時間』12・1月号の巻頭特集では、「冬の室内でもできる! らくらくキノコ栽培」として、さまざまなキノコの栽培方法を紹介しています。誌面で紹介しきれなかった内容を取り上げる「こぼれ話」では、キノコ栽培のプロである富士種菌の相場翔平さんに、自前の原木でキノコを育てるためのポイントを教えてもらいました。 みんなのキノコ栽培の写真
おすすめはナラ類などの落葉広葉樹
キノコ栽培用の原木は、一般的に90cmの長さに切られたものが販売されていますが、買わずに自分で切り出した木でキノコを育てることもできます。相場さんによると、「最近では管理の行き届かない森林が増え、太くて良質な原木の入手が難しくなりました。ご自分のお庭や山に木がたくさん生えているという方は、ぜひ自前の原木でキノコ栽培に挑戦してほしいです」とのこと。 針葉樹は不向きで、おすすめはナラ類などの落葉広葉樹。キノコの種類によって適する木の種類が異なるので、「主なキノコの種類と適した木の種類」の表を確認してくださいね。 なお、発生したキノコのクオリティーはちょっと下がるけれど、カエデやクリなどの木も栽培に利用できるのだそう。古くなって切ったほうがよい木があったら、有効活用してみましょう。
原木の切り出しは秋、紅葉してからがベスト
キノコ栽培に利用する原木は、いつ切り出してもいいというわけではありません。相場さんは「晩秋から初冬に紅葉したころが、切り出し作業のベストタイミング」と言います。 「紅葉したということは、木が休眠に入ったということ。水分の吸収量が少なくなるので、木が自分自身を乾燥から守ろうとして、皮が木質部にくっつきます。そのため、キノコの菌が木の内部に入り込みやすくなるんですよ。 逆に、木が活動している時期には、内部の水分が飽和状態。切り出しても皮がズルリとむけて浮いてしまい、キノコが出にくくなります」 と、相場さん。遅くとも晩冬~初春、木が目を覚まして水を吸い上げ始める前までに切り出しを終えましょう。 12・1月号でも紹介していますが、タネ駒の打ち込みも、3月までには終わらせたい作業。寒い時期に頑張ることで、おいしいキノコのどっさり収穫を目指しましょう! 教えてくれた人 相場翔平(あいば・しょうへい)/富士種菌研究開発室取締役部長。シイタケをはじめとするキノコの種菌製造、販売、栽培技術指導を行っている。 ●2023年12月・2024年1月号 やさいの時間テキストこぼれ話 より 『やさいの時間』編集部によるテキストこぼれ話。誌面で紹介しきれなかったお役立ち情報をウェブ限定で公開中。