F1角田裕毅のレッドブル昇格は見送り?!合同テストで素晴らしいインパクトを残していたのになぜ?
F1のRBに所属する角田裕毅(24)のレッドブルへの昇格問題が決着を迎えようとしている。複数の海外メディアは、レッドブルがセルジオ・ペレス(34)との契約を解除し、角田ではなく、同じくRBのリアム・ローソン(22)を昇格させることが決定したと報じた。だが、角田は合同テストで素晴らしいインパクトを残した。これはラストチャンスではなく始まりなのだ。 【画像】「驚くほど速い!」F2000Tで総合優勝した“女子高生レーサー”野田樹潤
最終戦アブダビGPが終了した2日後の12月10日、最終戦が行われた同じサーキットで24年シーズン最後の合同テストが開催された。 このテストで注目を集めたドライバーのひとりがRBの角田だった。その理由は角田がテストしたマシンが現在所属しているRBではなく、姉妹チームのレッドブルのマシンだったからだ。 通常、ドライバーが他チームのマシンを走らせる場合は、それまで所属していたチームと契約を解除したうえで、所属していたチームから他チームでテストしても構わないという承諾を受ける必要がある。このテストではカルロス・サインツ、ニコ・ヒュルケンベルグ、エステバン・オコンが参加していたが、彼らがテストしたマシンは25年に移籍するチームのマシンだった。 しかし、角田によるレッドブルでのテストは、それらとは状況が異なる。レッドブルとRBの2チームを所有するレッドブル本社の育成プログラムによってF1にデビューしたドライバーの多くは、レッドブルまたはRBと単独で契約を結ぶのではなく、レッドブル本社と契約したうえで、レッドブルまたはRBのシートを与えられるという仕組みとなっている。 それゆえ過去には成績が芳しくなくなると、レッドブルとRBの間でトレードされたこともあった。2016年のスペインGPではマックス・フェルスタッペンとダニール・クビアトをトレード。RBの前身であるトロロッソからレッドブルに昇格したフェルスタッペンは、いきなりスペインGPでF1初優勝。非情とも思えた電撃トレードの正当性を証明する結果となった。 しかし、そのやり方はだれに対しても有効ではなかった。2019年に不振のピエール・ガスリーとアレクサンダー・アルボンをトレードしたものの、レッドブルに昇格したアルボンもなかなか本来の結果を出せないレースが続いた。 そこでレッドブル本社はレッドブルのドライバーに関しては育成ドライバーに限定せず、即戦力も視野に入れ始めた。2021年にレッドブルに加入したセルジオ・ペレスはまさにそうだった。 ペレスは加入1年目の2021年はフェルスタッペンのサポート役として何度か記憶に残る走りを披露。しかし、フェルスタッペンがドライバーズチャンピオンを連覇していくと、力量の差が顕著となり、空回りするレースが続くようになった。 そこでレッドブルは8回の優勝経験を持つダニエル・リカルド(RB)に白羽の矢を立てようとしたが、今シーズン急成長したチームメートの角田を上回ることができず、9月のシンガポールGPを最後にF1を去った。 しかし、ここからレッドブル本社のドライバー人事が迷走する。普通に考えれば、実績のあるリカルドを上回る走りをしている角田をペレスの後釜にすえればいいのだが、なぜかレッドブル本社はリカルドに代わってRBに加入したローソンを将来のレッドブル・ドライバーにしようと企てたのである。リカルドもローソンもRBからF1に復帰する前、テストしていたマシンがレッドブルだった。 ところが、ローソンが出場した終盤6戦の予選結果は角田の6戦全勝だった。にもかかわらず、角田がレッドブルのマシンを本格的なテストで走らせたのは4年間で一度もなかった。