F1角田裕毅のレッドブル昇格は見送り?!合同テストで素晴らしいインパクトを残していたのになぜ?
そこでレッドブルとRBが搭載するパワーユニットを開発・製造しているホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長がレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表に「公平にジャッジしてほしい」と直談判。レッドブル本社は12月10日のテストで角田にレッドブルのマシンをテストさせることにした。 そのテストで角田は完璧とも思える仕事をやり遂げた。トップタイムこそ、レギュラードライバー枠の中で11人中9位だったが、このテストは2025年に使用する新しい5種類のタイヤのデータ取りが主な目的。一発の速さを競うものではなく、新しい5種類のタイヤをいかに正しく細かく評価し、それに合わせて変更したセットアップの評価をエンジニアに伝えるためのテストだった。 かつてRBで一緒に戦い、今回のテストではレッドブルのガレージで一緒に仕事をしていたHRCの折原伸太郎氏(トラックサイドゼネラルマネージャー)は次のように語る。 「チームによって人も仕事の進め方も違うので、チームを移った当初は人を覚え、新しいやり方に慣れるまでに時間がかかるのですが、裕毅はRBのときと変わらないか、むしろ落ち着いて仕事していたように見えました。大きなミスはもちろん、小さなミスもなく、完璧な一日だったと思います。順応性の高さに驚きました」 またレッドブルでこのテストを指揮していたヘッド・オブ・パフォーマンス・エンジニアリングのベン・ウォーターハウス氏も角田に高い評価を与えていた。 「非常に高いレベルで走り、われわれの期待通りの仕事をこなしてくれた。ユウキが提供してくれた非常に有益なフィードバックはピレリが2025年に導入する新しいタイヤを使いこなすうえで貴重なものとなるだろう」 レッドブル首脳陣に近いあるヨーロッパのジャーナリストによれば、「ペレスがクビになるのはほぼ間違いない。あとは違約金をどうするのか。そして、ペレスが更迭できた場合、そのシートにどちらが座るのかは、まったくわからなくなってきた」と言う。 ペレスが残留するのか、ローソンに落ち着くのか、あるいは角田が実力でシートを奪うのか。 複数の海外メディアは、17日にペレスの契約解除とローソンの昇格決定を報じた。だが、たとえシートをローソンが得たとしても、レッドブルのテストで角田が披露したパフォーマンスが、レッドブルを走らせるに相応しいレベルだったことは、紛れもない事実であり、レッドブル首脳陣にもインパクトを与えた。 そう考えれば、今回のテストはトップチームへ行くラストチャンスではなく、むしろ、その第一歩と考えたほうがいいだろう。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)