帰ってきた「リターンライダー」は国内バイク市場の救世主になるか?
■国内バイク市場―増加するリターンライダーが下支え 国内のバイク販売台数は、ピークであった1982年の329万台から減少し続け、2013年は42万台となりました。苦戦する国内バイク市場ですが、ここにきて変化の兆しがみられます。「リターンライダー」と呼ばれる中高年ライダーが市場を下支えする格好で、2010年以降、販売台数が下げ止まったのです。
リターンライダーとは、就職や結婚・子育てなどを機にバイクに乗らなくなった後、再びバイクに乗り始めた人のことで、40~50代が中心になります。実際、バイクの新車購入者の平均年齢は上昇しており、特に排気量401cc以上の大型バイクでは4人に3人が40代以上です。
■国内バイク市場の2つの課題 足元の国内バイク市場は、リターンライダーの需要に支えられている面がありますが、課題が2つあります。 1つ目は「事故」です。警察庁の統計によると、近年、自動二輪車乗車中の負傷者数が全体では減少しているのに対し、40~50代では増加傾向にあります。バイク関連団体である日本二輪車普及安全協会では、リターンライダーも参加できる講習会「グッドライダーミーティング」を全国で開催するなど、安全運転技能の向上に取り組んでいます。2つ目は、ライダーの「高齢化」です。中高年のライダーは若者よりも先にバイクに乗れなくなる日がやってきます。若い世代やバイクに関心のない層をいかに取り込んでいくのかが、今後のバイク産業復活のカギといえます。 ■国内のバイク販売台数―2020年に100万台を目標 昨年8月19日(バイクの日)、経済産業省は、バイク産業が目指す姿として「2020年に国内販売台数100万台・世界シェア50%超・マナー向上」という目標を掲げました。この目標を受け、今年5月16日、バイク関連団体および地方自治体(三重県、鈴鹿市、静岡県、浜松市、熊本県)が、バイク産業の成長戦略として「二輪車産業政策ロードマップ」を発表しました。「2020年に国内販売台数100万台」という目標の実現は困難という見方もありますが、足元では、行政・メーカー・関連団体など、各方面でさまざまな取り組みが進められています。経済産業省では、バイクの免許制度や、2015年度からの引き上げが決まっているバイクの税金(軽自動車税)などについて、関係省庁に対し、改正を視野に入れた働きかけを行っています。