日本美術にみる「おめでたい」モチーフの美を紹介 『瑞祥のかたち』皇居三の丸尚蔵館で
2025年1月4日(土)より、皇居三の丸尚蔵館では、『瑞祥のかたち』展を開催する。皇室伝来の書跡・絵画・工芸品のなかから、数々の「おめでたい」モチーフを紹介し、新年を寿ぐ展覧会だ。 【全ての画像】《蓬莱山絵巻》ほか広報用画像(全16枚) 辞書によると、「瑞祥」とは「めでたいことが起るという前兆、吉兆、祥瑞」(小学館『デジタル大辞泉』)のことを言い、日本では、蓬莱山や富士山、松、鶴、亀、宝船、霊獣といったモチーフで表わされた。 たとえば蓬莱山は、古代中国において不老不死の仙人が住むとされた山だが、日本では島台のように長寿を象徴する鶴と亀を添えた縁起ものにもなり、やがて霊峰・富士に重ねられていく。また、古代中国で優れた天子が世に現われる兆しとされた鳳凰は、皇室ゆかりの品々に多く登場し、空想上の霊獣である麒麟や唐獅子も、太平の願いをこめて表現された。 同展は、これらのモチーフを、江戸時代から近代にかけて活躍した作家による名品で紹介する。なかでも注目されるのは、伊藤若冲の描いた鳳凰図。1月4日(土)~2月2日(日)までの前期には、青物問屋の家督を次弟に譲り、画業に専念することを決意した若冲の初期の大作《旭日鳳凰図》が、2月4日(火)~3月2日(日)までの後期には、国宝「動植綵絵」から、常緑の松の古木を背景に鳳凰が真っ白な羽を広げる《老松白鳳図》を展示する。また会期中通して公開されるのが幅4メートルもの大画面に富士山を描いた横山大観の《日出処日本》。大観の富士を描いた作品のなかでも最大級の作品だ。 これら縁起の良い作品を、皇居東御苑に位置する皇居三の丸尚蔵館で、皇室の歴史と文化を感じながら楽しむひとときは、穏やかな年の幕開けを約束してくれることだろう。なお、ギャラリートークや特別鑑賞会などイベントの詳細は、ホームページで確認を。 <開催概要> 『瑞祥のかたち』 会期:2025年1月4日(土)~3月2日(日) ※会期中展示替えあり 会場:皇居三の丸尚蔵館