「圧倒的な力強さで読む側にも活力を与えてくれる」上橋菜穂子2022年のベストセラー『香君』 文庫版3巻が発売[文庫ベストセラー]
11月12日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『香君3 遥かな道』が獲得した。 第2位は『透明な螺旋』。第3位は『赤と青のガウン オックスフォード留学記』となった。 1位に初登場の『香君3 遥かな道』は上橋菜穂子さんが2022年に発表したファンタジー小説。伝承や神話、生き物の生態や政治システムなど、精緻に作り込まれたファンタジー世界を舞台に、「香りの声」を聞くことができる少女が国を救うために奮闘する姿が描かれる。単行本では『香君 上 西から来た少女』と『香君 下 遥かな道』(いずれも文藝春秋)が刊行されており、文庫版は上を1・2とし、下の「遥かな道」は3・4となる。4は12月4日に発売が予定されている。 ライターの瀧井朝世さんは上橋菜穂子さんについて《本屋大賞を受賞した『鹿の王』ではウィルスや医療といった題材が扱われたように、実社会の生活に繋がるような要素が盛り込まれるのが作品の特徴だ。新作『香君(こうくん)』で重要なモチーフとなるのは植物、そして農業。》と紹介。また今作について《自然の生態系の合理性と不可思議さを同時に味わえるのも魅力。その一部にすぎない人間がすべてをコントロールできるわけはない。そのなかで、いかに生きるか。今回もまた圧倒的な力強さで、読む側にも活力を与えてくれる長篇だ。》と解説している。 1位『香君3 遥かな道』上橋菜穂子[著](文藝春秋) 虫害によって国の威信が揺らぐ事態に陥ったウマール帝国。その危機を打開する方法が見つかるが、アイシャは、なぜか、その方法に不安をおぼえる。そんな中、天炉山脈の聖地で、ひとりの男が発見される。男に会うために天炉山脈に向かったアイシャとマシュウは、驚愕の事態に遭遇するのだったーー。胸に迫る圧倒的世界観の第3幕! (文藝春秋ウェブサイトより)
2位『透明な螺旋』東野圭吾[著](文藝春秋) 誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密 南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。同時に、男の行方不明者届を出していた同居人の女が行方をくらませた。捜査にあたった草薙と内海薫はその過程で、思いがけず湯川学の名前に行きつく。草薙はすぐさま湯川の元を訪れたが、彼はそこ、横須賀のマンションで意外な生活を送っていた――。巻末に短篇「重命る(かさなる)」を特別収録。(文藝春秋ウェブサイトより)
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