「元気で生きていることが信じられない」…竹中直人が語る「68歳の生き方」
「しかめっ面して生きている68歳」
竹中自身も現在68歳、老いについてはどう考えているのか。 「元気で生きていることが信じられないです。68にもなればいろんなところにガタがくるはずなのにニコニコして生きている人もいます。僕は『やってらんねえー! 』って言いながら、しかめっ面して生きている68歳です(笑)。ただ生きている。いや、しがみついて生きている。自分は一体どんな死に方をするのだろうといつも考えます」 老いていいことはないと呟く竹中だが、より幅広く積極的に活動を続けている。映画監督としては、若手お笑いコンビを起用した映画『たてこもり』のメガホンを取った。 「8ミリ映画を撮っていた頃から無駄な時間をかけたくないという思いが強かったので、カメラワーク、カット割りは前もって決めておきます。竹中組の撮影は巻き巻きだからスタッフはみんなニコニコして帰っていきます」 6月24日からは5年半ぶりの個展も開催。猫、やおじさん……誰かに似ているように感じられる画もあるが、「すべて想像で描いた」そう。ロケや撮影の合間に、早ければ数分で一気に完成させる。 「今回の個展の話は3年前にお声をかけて頂いた。まだ先だと油断していたら、あっという間に3年! 個展の当日まで、一生懸命描きまくります」 幼少期の将来の夢は漫画家。鍵っ子だった竹中は両親が帰宅するまで、ひたすら家で漫画を描いていたという。絵を机いっぱいに広げる竹中の姿には、少年時代の面影が重なった。
大西 展子(ライター)