金馬奨で最優秀作品賞、望まぬ妊娠に直面した中国の女性描く「石門」2月公開
2023年に“中華圏のアカデミー賞”とも言われる第60回金馬奨で最優秀作品賞を受賞した「石門(せきもん)」が、2月28日から全国で順次公開決定。ポスタービジュアルが解禁された。 本作は2019年の中国湖南省・長沙市を舞台に、望まぬ妊娠に直面した20歳の女性リンの姿を描いた物語。彼女は単発の仕事で日銭を稼ぎながら、フライトアテンダントになるための勉強をしていた。ある日、郊外で診療所を営む両親が、死産の責任として賠償金を迫られる。自分が妊娠1カ月と知ったものの、子供を持つことも中絶も望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりに、この子供を提供することを思いつく。 監督を務めたのは、中国湖南省出身のホアン・ジーと、東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動するこの夫妻は、女性の性に関する問題をテーマに共同制作を続けている。抑圧された生活を送る14歳の少女を描いた「卵と石」ではロッテルダム国際映画祭の最高賞であるタイガーアワード、見知らぬ男たちと知り合う16歳の少女を追った「フーリッシュ・バード」ではベルリン国際映画祭ジェネレーション部門の14+スペシャルメンション賞を授与された。 ホアン・ジーは、タイトルになった「石門」について「女性を取り巻く環境に存在する、打ち破りたくてもなかなか突破して先に進めない壁」と説明。「フーリッシュ・バード」でも主演を務めたヤオ・ホングイが主人公のリンを演じている。撮影は妊娠期間と同じ10カ月間をかけて行われ、主人公がその期間の中で変化していくさまが映し出された。ホアン・ジーと大塚によるコメントは以下の通り。 「石門」は東京・新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋ほかで公開。配給はラビットハウスが担う。なお、本作は中国を舞台に日本資本で製作された作品となる。 ■ ホアン・ジー コメント この映画の共同監督である大塚竜治は、私のパートナーであり、夫でもあります。ある日、彼が言いました。「10カ月間撮影しよう」。それは、妊娠から子供が生まれるまでの時間であり、この映画が生まれる時間でもあります。この映画が石の扉を開けて、日本の皆さんに届くことを嬉しく思います。 ■ 大塚竜治 コメント 10カ月の撮影を終える直前にコロナが発生し、撮影は中断を余儀なくされました。その時、私たちは主人公のリンと同じように現実の中で迷い込み、出口を見失ってしまいました。しかし、最終的にその経験がリンの抱える痛みに寄り添い、彼女と共に重い扉を開くきっかけとなり、映画に新たな光を灯すことができました。ぜひ、映画をご覧ください。 (c)YGP-FILM