“ドラマDEEP”の真骨頂――「どうか私より不幸でいて下さい」吉谷彩子&浅川梨奈インタビュー
――実際に演じてみていかがでしたか? 浅川 「志保から景子に何か仕掛けることが多いので、吉谷さんは“受け”の芝居が多かったと思うんです。私、受けの芝居が、こんなにスムーズにナチュラルにできる人ってすごいなと思っていて。自然体に違和感なく受けて、それをナチュラルに返して下さるから、こっちが何か仕掛けなくても、漫画っぽくなり過ぎないというか。漫画原作ですが、吉谷さんのベースのお芝居があるからこそ、実際にいそうな姉妹になったなと思います。これまで私は“攻め”の芝居が多くて受けの芝居が苦手なんです。どうしたらいいのか分からなくなることもあるのですが、それを吉谷さんに背中で教えていただきました。吉谷さんとお芝居ができて光栄だったし、今後に生かせる勉強をさせていただいたと思っています」 吉谷 「うれしい(笑)! 梨奈ちゃんには私の芝居をしっかり受け止めていただきました。志保は梨奈ちゃんしかいないと思います。笑顔から急に無表情になったり、すごく感情が激しいシーンが多かったのですが、そういう切り替えの部分も、お芝居していて鳥肌が立つような演技をされていて。衣装合わせの時に『100で志保が悪くて、景子がかわいそうに見えるのは面白くないと思っている』と監督にご相談しました。景子はすごく優しくて純粋だけど、相手にとってはいら立たせることもある。見ている方が『志保って最悪!』だけで終わらない方が面白いかなと思って。そこはかなり意識して、全部がかわいそうにならないように演じました」
――話数が進む中で、演技を変えたところはありますか? 吉谷 「第1話の景子は周りがうらやむくらいに幸せですよね。とびきりの笑顔で『私は世界一幸せ』というイメージで演じました。そこからの落差がすごいと思うので、グラデーションのように落ちていく様(さま)を演じていかなければと思っています。志保は小さい頃から大切な妹だから、全く疑いの目を向けていないけど、ちょっとおかしいんじゃない? と思うところから、少しずつ表情の変化というか。『おかしいな。でも妹はそんなことするはずがないか…、おかしい、あれ、これは違う…!』と徐々に変化を意識して演じました」 浅川 「志保は最初、誰からも愛されかわいがられてきた妹。お手本のようなお姉ちゃんとお手本のような妹。そこから、実は裏の顔はお姉ちゃんの不幸が何よりもうれしくて、お姉ちゃんの幸せをつぶすために、少しずつ小さい頃からモノや人を壊していって。お姉ちゃんが幸せの頂点から下がっていく分、私が一番下から上がっていくことを意識しました。やっていることも、どんどんエスカレートしていきますよね。陰でこそこそとお姉ちゃんを不幸にしていたけど、第4話(8月6日放送)でお姉ちゃんに「不倫している」と言ったことで、今まであんなに天使みたいにかわいかった志保の性格の悪い部分、嫌な部分をこれから前面に出していきます。今までの志保とは差をつけて見せられるように気を付けました」 ――吉谷さんはお兄さんがいらっしゃるとのことですが、実際のきょうだい仲はいかがですか? 吉谷 「兄が2人いるのですが、とても頭がよくて。私はそんなに勉強ができる方ではなかったので、からかわれて悔しい思いもしました(笑)。スポーツができる真ん中の兄がトロフィーをもらって帰ってくると、小学生くらいまでは『私だって! くそぉ!』と思ったこともありました。でも自分の好きなことを見つけたら、全く思わなくなりました」 浅川 「私は一人っ子ですが、昔から人と比べてもしょうがないと思っているタイプで。自分は自分じゃないですか。人と比べて、自分の自己肯定感を下げてしんどくなるのは悪循環だと思っています。小学生の時から『人は人、自分は自分』という感じでした。例えば、運動会でリレーの選手を選びますよね。私も割と足が速い方だったのですが、自分が選手に選ばれなくても『悔しい』と思うのではなくて、『そうだよね。どうしたら、そんなに足の回転速くなるの?』みたいな感じで(笑)。今も変わりませんが、そんなに人と比べて悔しいとか、そういうのを感じないんです。だから、みんなが私のような性格にだったら、生きやすいのになって思います(笑)。最近、若い子が自分の自信をどんどんなくしちゃうとかあるじゃないですか。『人と比べなければ、こんなに生きやすいよ!』って言いたいです(笑)。『比べたってしょうがないから、自分は自分だよ!』と思います」 ――撮影中のリラックス方法はありますか? 吉谷 「梨奈ちゃんと話しているのが息抜きでした。メーク部屋で長年連れ添っている時の親友みたいな感じで…。お互い無言になりたい時は無言だし、話したい時はすごく話す。本当に自分の親友と話しているような感じで、すごく楽しかったです。あとは、1月に結婚したのですが、料理を作るのが好きなので、自分が早く帰った日は、作ります。でもそれは、主人も同じで。私が忙しい時は、向こうがご飯を作ってくれることもあるので、そこはお互いに協力してやっています」 浅川 「私も吉谷さんと話している時が楽しかったです。あと、定期的に現れる吉谷さんの天然な部分を観察しているもの面白かったです(笑)。ある時、遠くでスタンバイしている吉谷さんを見ていたらずっと揺れていて…。『揺れてるよ』って伝えたら『あ、本当だ(笑)』って。それが同じ日に3回くらいあったんです。私が結構、突っ込み体質なんで、吉谷さんのよく分からない行動をずっと突っ込んでいました(笑)。あとは、猫と遊んでいる時もリラックスしています」 ――理想の夫婦像はありますか? 吉谷 「信頼し合うことが大事だと思います。信頼し合って、尊重し合うことが一番大切じゃないかなと思ってます」 浅川 「普通のことが幸せと思えるのっていいですよね。ジャージ姿でコンビニエンスストアに行けるとか、一緒にご飯を作って、ご飯を食べるとか。普通に会話をするとか。当たり前で普通の生活だけど、それは当り前じゃないんだよってお互いが思い合って、お互いがその瞬間、瞬間を幸せだなって思えたらいいと思います。何気ない日常で、ありがとうとごめんなさいが言える関係性、お互いに尊敬もし合えたらいいかな。そういう夫婦になりたいです」 ――最後にお二人が思うこの暑い夏を乗り切るコツを教えてください!! 浅川 「電気代をけちらず、クーラーをかける。電気代を我慢したところで、熱中症になったら元も子もないじゃないですか。冬は毛布をかぶって、節約。その代わり夏は冷房代をけちらずにクーラーを効かせた部屋にいるか、涼しい場所に行くっていうのはいかがでしょう? うちは猫がいるので、5月くらいからずっと冷房をつけてます」 吉谷 「サウナ。暑い時こそ、サウナに入って、水風呂入ると、まあ気持ちいいので(笑)! 夏もサウナ、冬もサウナです! 私はサウナでセリフを暗記するくらい、サウナが大好きなので、良く行きます!」 ――ありがとうございました!