インド新興財閥アダニ会長、米検察起訴 詐欺罪など、米印の懸案にも
米検察当局は20日、インド新興財閥アダニ・グループを率いるゴータム・アダニ会長(62)らを詐欺罪などで起訴したと発表した。アダニ氏は世界的な富豪として知られ、インドのモディ首相との関係も近いと指摘されてきた。対中国を念頭に接近を図る米印両政府にとって、懸案事項となりそうだ。 【写真】新興財閥「アダニ」グループ企業の再生可能エネルギー発電所=2024年4月、インド西部カウダ近郊、伊藤弘毅撮影 AP通信などによると検察当局は、アダニ氏や他の幹部らが、太陽光発電事業に絡んでインド政府関係者に2億5千万ドル(約390億円)以上の賄賂を支払う約束をして事業を受注し、米国の投資家らを欺いたと主張している。 検察当局の発表を受けて、21日のシンガポール市場では同グループ企業のドル建て債券の価格が急落。インド市場では、グループ企業の株価が大幅に下落している。 アダニ・グループは21日、アダニ氏らへの嫌疑について「根拠がなく、否定する」とする声明を発表、有罪が立証されるまでは無罪と推定されるとし、「あらゆる法的手段を講じる」とした。 アダニ・グループは、発電所や港湾、空港、メディアなどの運営を幅広く手がける。近年は、再生可能エネルギー発電施設への大規模投資を相次いで実施してきた。創業者のアダニ氏は、モディ首相と同じ西部グジャラート州出身で、両者の関係は緊密だとされる。 アダニ・グループを巡っては、米投資会社ヒンデンブルグ・リサーチが2023年1月、タックスヘイブン(租税回避地)などを介した大規模な会計不正や株価操作などを長年行ってきた疑いがあるとの報告書を発表。グループ企業の株価が一時、大きく下落していた。(ニューデリー=石原孝、バンコク=伊藤弘毅)
朝日新聞社