三笘薫に得点量産の予感?ブライトンが新監督の元で目指すサッカーとは。「彼はドイツ人だからね」選手が語る共通点【コラム】
●「クオリティを見せつけられた」浸透しつつある攻撃の形とは
それは決定力の部分だと考える。 具体的にヒュルツラーはどのような練習をしていたのか。メディア限定で公開された時の戦術練習では、攻撃側はサイドからのクロスに飛び込む練習、守備側はビルドアップ時のポジショニングの練習をしていた。 前者の練習に焦点を当てると、ニアサイドに飛び込むパターンとファーサイドに飛び込むパターンを別々に行い、どちらも最初はDF抜きでやることで、クロスをあげる選手とボックス内に飛び込む選手のタイミングを合わせようとしていた。そして、途中からDFが投入される形に変更すると、守備側はやや遅れてマークにつく形になるように練習がデザインされている。 守備側をあえて遅らせて入れる練習方法は公開練習でも見られた。ゴール前での3対3の練習でもDFはやや遅れて守備に入るデザインになっていた。また、最後に行われたミニゲームでは、攻撃側がボールを持つ場合はサイドラインは通常通りの横幅に設定されているが、守備側がボールを持つ場合は横幅が狭くなる変則的なルール設定となっていた。 このルール設計は守備側がボールを持った時に密集が生まれやすくしている。結果、攻撃側は素早くボールを奪い返し、すぐさま空いているサイドに展開して、スピーディーに攻めきる現象が多く発生していた。 要するに、どの練習もショートカウンターからの得点率を高めるためのものであり、相手のDF陣が完全にブロックを組む前に点を取りたいという狙いが見えた。 東京ヴェルディの城福浩監督がブライトン戦後の会見で「ワンチャンスをモノにするというクオリティを見せつけられた」と語ったことからも、着実にその狙いはチームに浸透しているようだ。 そんな新しいサッカーにおいて、三笘はどうハマるのだろうか。
●三笘薫はどう変わるのか?
原則としてビルドアップ時はサイドに張る役割になるため、三笘のボールタッチ数が増えるような戦術的構造ではないかもしれない。しかし、フィニッシュの場面に顔を出す回数は増えるはずだ。 理由としては、今夏は右ウイングの補強をに行ったことがあげられる。 特にニューカッスル・ユナイテッドFCから加入したヤンクバ・ミンテは、プレミアリーグでも屈指のドリブラーになり得る存在だろう。昨季は期限付き移籍先のフェイエノールトで10ゴール5アシストを記録しているチャンスメーカーでもあり、右サイドから相手を崩して、左サイドで仕留める機会は増えるのではないか。 なお、一緒にプレーしやすい選手について尋ねられたこのガンビア代表FWは、真っ先に「(シモン・)アディングラ」と答えた後に、三笘の名前も挙げている。縦パスをフリックして味方との連係の起点になるなど、ドリブラーでありながらパスワークにも上手く絡めるタイプであることは非常に魅力的だ。 また、昨季は怪我の影響で長期離脱を強いられたソロモン・マーチが戻ってくることも大きい。ミンテ、マーチの2人の右ウイングに加えて、両サイドを起用にこなすアディングラもいることでウイングの層が充実するため、三笘を上手く休ませることが出来る。無論、ポジション争いが激化することは間違いないのだが。 昨季は疲労を抱えながらプレーしているような試合もあったが、今季は上手くローテーションができれば、シーズンを通して高いパフォーマンスを披露できるはずだ。 今回の展望はシーズンが始まる前の仮説ではあるものの、ブライトンのジャパンツアー中に積極的に取材を行って見えてきたものである。仮説通りになる可能性は十分あると思っている。いずれにしても、今季のブライトンの躍動、そして三笘の活躍に期待したいところである。