大統領警護処の無法の裏に「前国防長官の陰」…野党「銃器支給も検討した」
大統領警護処は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の逮捕状執行を阻止するため、ソウル漢南洞(ハンナムドン)の大統領官邸周辺を車壁と鉄条網で取り囲むなど、鉄壁の防御に乗り出した。また、警護業務と関連のない事務職の職員まで総動員するなど逮捕状執行の阻止に「私兵」のように動員したうえに、「結束バンド」を用意し「銃器」の支給まで検討したという疑惑が持ち上がった。 最大野党「共に民主党」のユン・ゴニョン議員は6日、「警護処がイ・グァンウ警護本部長を前面に出して、官邸後方の山から下りてくる通路まで鉄条網を張り巡らせ、車で3重の壁を作り、一種の要塞化を進めている」と述べた。今月3日の最初の逮捕状執行当時、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)の捜査官らが周辺の山道を迂回して官邸への近づいたことを受け、これを防ぐために4日から大統領官邸の出入り口付近に円形の鉄条網が設置された。 ユン議員は同日、ハンギョレとの電話インタビューで、「イ本部長は先週土曜日(4日)、幹部たちを集めて『軍と警察が我々を裏切った。警護処が大統領を守らなければならない』と演説し、士気を高めた」と語った。さらにこれと関連して「昨日(5日)は若い行政要員や警護官ではない事務職までおよそ500人ほどの警護処の職員たちに『漢南洞官邸に全員集まれ』と総動員令を下した」とも伝えた。 また、この過程で「イ本部長が『結束バンド400個を用意し、銃器を支給して、(警察が)入ってきたら直ちに逮捕せよ』と言った」という情報提供を受けたとも語った。このような強硬策は、パク・チョンジュン警護処長に報告されないまま進められたという。ユン議員はこの過程で「一部の幹部が『警護官に逮捕の権限があるのか』と問題を提起し、結束バンドの用意などは実際に行われなかった」と述べた。また、これに先立ち、銃器の支給を検討したが、パク処長によって中断されたこともあったという。 イ本部長は警護処の職制上、官邸の警備業務とは何の関係もない人物。本部長の任務は大統領の外部日程にともなう警護だ。にもかかわらず、イ本部長が逮捕状の執行阻止のために官邸要塞化作業を陣頭指揮できたのは、尹錫悦政権の初代警護処長を務めたキム・ヨンヒョン前国防部長官という心強い後ろ盾があったためと言われている。警護処の内外では、キム・ヨンヒョン元処長時代、キム・ソンフン警護次長はキム元処長の「最側近」、イ本部長はキム・ソンフン次長の「右腕」と言われていたという。 警護処はこのような疑惑提起に特別な立場を示さなかった。ただし「銃器支給を検討した」という主張については「パク・チョンジュン警護処長は3日、公捜処の職員たちに発砲命令を下したことも、検討したこともないことを明確にする」という前日の立場を繰り返した。 コ・ハンソル、イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)