「ありがとう」「頑張れ」 転出者との別れ惜しむ 奄美大島・名瀬港
異動や進学に伴う引っ越しがピークを迎えている。鹿児島県奄美市の名瀬港には28日夜、島を離れる恩師や友人らを見送ろうと、多くの人々が訪れた。同港からは175人が乗船。港のターミナルデッキでは、見送る人々が遠ざかる船に大きく手を振り「ありがとう」「頑張れ」と大切な人との別れを惜しんでいた。 ターミナルでは午後7時半ごろから人々が横断幕やのぼりを掲げ、別れの言葉を交わして記念撮影。互いに感謝を伝え再会を誓う姿が見られた。 古仁屋高校から霧島高校に異動する盛山浩行教諭(43)は「校舎から見える加計呂麻島と大島海峡の景色がきれいだった。生徒たちも素直でやりがいのある環境だった」と4年間を振り返った。 鹿児島市に引っ越す児童は22日に手花部小学校を卒業したばかり。「とても楽しい経験ができた」。見送りに来た友人は「私たちのことを忘れないで頑張ってほしい」と思い出をかみしめた。 自衛官として国分駐屯地に勤務する池田匠建さん(18)=大島北高卒=は友人らに囲まれ、「周りの人に恵まれた深い18年だった。寂しいが島ではできないこともたくさんあるので頑張りたい。ゆくゆくは地元に帰って働けたら」と語った。 同港では新型コロナウイルス感染対策として2020年から岸壁での見送りを禁止しており、感染症5類移行後も規制を継続。県港湾空港課は「事故防止と安全確保」が主な理由としている。風物詩となっていた紙テープで船と岸壁をつなぐ光景は見られなかった。